映画【斬る】感想(ネタバレ)

destinys-son
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●こんなお話

 天才剣士がいろいろ大変な話。

●感想

 何と言っても圧倒的な映像美が魅力の映画だと思いました。冒頭、ふすまの一部が大写しで画面に映る。その左の端から女性の横顔がクローズアップで映し出される。その女性が寝室に忍び込んで、1人の女性を殺害するシーンになり、それにクレジットが重なっていく。この時点で、この映画の凄さが伝わってくる名オープニングだと思いました。
 そしてその女性が自害させられるシーンになりますが、そこの構図も美しくて、画面の左側に大きな木がはいって、右側に女性と介錯人が立っていて、介錯人が持つ刀が光る。

 物語的には70分の中編で恐ろしいスピードで話が展開していくので、油断すると振り落とされそうになりました。
 開始10分で主人公とその家族のだんらんがあったと思いきや、3年後とテロップになって、主人公が旅に出て戻ってくる。お殿様の前での試合で必殺技を習得している主人公。一体いつ覚えたんだと思うこと間違いないですが。カッコいい構えを見せてくれてよかったです。

 主人公の出自を巡る話になり、それで妹と父親を殺される。この時、瀕死の父親から自分の出自を聞かされますが。この時のお父さん、だいぶ喋ります。瀕死には見えない…。
 そして藩のお家騒動や水戸藩の過激な攘夷藩士との戦いに巻き込まれていく。追っ手から逃れる姉弟をかくまったり、玄武館の道場から新たな主人に仕えたり。

 独特の映像美と同時に市川雷蔵さんの殺陣もさすがで、10人くらいを斬るのにワンカットで横移動のカメラワークで見せるところなんか面白かったです。スプラッタ時代劇を後に撮る三隅監督らしいというか、途中の一騎打ちで引きの画ですが、胴体が真っ二つになったりもあって面白かったです。

 市川雷蔵さん本人の美しさと相まって哀しい武士の話が見られて満足な1本でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2014/05/20 DVD

監督三隅研次 
脚色新藤兼人 
原作柴田錬三郎 
出演市川雷蔵 
藤村志保 
渚まゆみ 
万里昌代 
成田純一郎 
丹羽又三郎 
友田輝 
柳永二郎 
天知茂 
稲葉義男 
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