●こんなお話
冷戦時代のソ連とアメリカのスパイの恋愛とかソ連崩壊時に当時のことを探る親族の話。
●感想
ある男性がソ連時代に追っ手から逃れて亡命を試みる。その身を案じつつ、妻のことが頭から離れない。時は流れてソ連が崩壊した後、その男性の姪がロシアで個展を開くことになり、彼女が自らのルーツを探る旅に出る。現代と過去が交錯しながら、物語が進んでいく。
物語は過去へと遡り、アメリカとソ連の友好パーティーで主人公の男女が出会う場面へ。女性はアメリカのスパイで、両親をソ連に殺されて以来、共産主義を強く憎んでいた。そんな背景を抱えた彼女が、任務として男性に近づくが、やがて本気で愛してしまうというスパイ×恋愛の王道パターン。
現代パートでは、姪がロシアの記者の助けを借りてKGB時代の資料を調べる。賄賂を渡してファイルを開き、かつての上司の名前を突き止め、生存が判明。面会に行くが、拒絶されて追い返される。
過去では、女性スパイが任務で好きになった相手から機密情報を盗むかどうか、葛藤に揺れたり。ソ連側では情報漏洩が発覚し、スパイの内部調査が始まり、裏切り者探しが緊迫する中で、彼女は婚約者に正体を明かす。婚約者は衝撃を受け、2人の関係も大きく揺れる。
さらに、女性主人公は上司にすべてを報告するが、その上司こそがKGBに寝返っていた裏切り者で、逃走の末に射殺されたことが明かされる。現代パートではその事実が明らかになり、すでに老いた元婚約者がその知らせに涙する。そして、彼の元に届いた女性主人公からの手紙を読んで慟哭し、物語はおしまい。
スパイとして命令で近づいた相手を、いつしか本気で愛してしまい、その思いと任務の狭間で苦悩する。そんなドラマと、時を越えてその過去をたどる現代の姪の旅という二重構造の語りは面白い仕掛けになっていると思います。ただし、どちらのパートもやや淡々としていて、心に強く残る場面は少なかった印象です。
スパイ映画としては、書類を撮影するシーンや、雑談しながらの情報の受け渡しといった描写がありますが、緊張感はあまりなく、ハラハラすることもなかったです。恋愛パートもやや記号的で、出会ってすぐに恋に落ちてしまう展開にはあまり説得力がなく、ただ悩む様子を冷めた視点で見ることになる1作でした。
それでも、レベッカ・ファーガソンが2役を演じ、その美しさと存在感は魅力的で、彼女を観るための作品としては十分楽しめる1作でした。
☆☆
鑑賞日:2025/06/06 Amazonプライム・ビデオ
監督 | シャミム・サリフ |
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脚本 | シャミム・サリフ |
原作 | シャミム・サリフ |
出演 | レベッカ・ファーガソン |
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