●こんなお話
破壊屋刑事と殺人犯が犯罪とかなくなって漂白された未来で復活して戦う話。
●感想
1996年のロサンゼルス。夜の街を舞台に、ヘリコプターが飛び交いながら激しい銃撃戦が繰り広げられていく。シルベスター・スタローン演じる主人公ジョン・スパルタンが、ビルの中に立てこもる凶悪犯を追い詰めていく導入は、派手な爆発と肉体アクションの連続で始まります。犯人はウエズリー・スナイプス演じるサイモン・フェニックス。派手な暴れっぷりで警察を翻弄し、ビル全体が爆破される事態となり、なんと人質30人の遺体が見つかる結果に。事件の責任を問われた主人公スパルタンもフェニックスとともに、冷凍睡眠という刑罰に処され、物語は未来へと時を進めていきます。
舞台は2023年。人々が穏やかに暮らす、徹底的に管理された未来社会が広がっています。暴力は存在せず、粗野な言葉を使うことも禁止されていて、さらには嗜好品などもすべて制限されているという徹底ぶり。この時代においては、争いや犯罪そのものの概念すら理解されていない様子で、人々の反応もどこかふわふわとした印象を受けます。
そんな中、凍結から目覚めたフェニックスが脱走し、警察たちはどう対処していいのかわからず困惑。過去の犯罪者には過去の刑事を、という判断で、主人公スパルタンが再び現代に呼び戻されることになります。ここから、管理社会に生きる現代人と、荒々しい20世紀的価値観を持つスパルタンの文化的ギャップが描かれていき、作品全体にユーモアが生まれていきます。
現代ではすでに武器の使用が禁じられているため、銃を探すにも博物館に足を運ぶ必要があり、展示品を使って戦うシーンなどもありました。また、未来社会に馴染めず、地下に潜んで自由を求めるレジスタンスたちの存在も描かれ、支配と反抗というテーマも丁寧に織り込まれていきます。世界を構築した中心人物として、ある博士の存在が背後で暗躍しているのでは、という展開もあり、アクションだけでなく陰謀劇としての要素も盛り込まれています。
スタローン演じるスパルタンは、破壊も厭わず突き進んでいく豪快さが魅力で、さすがアクション俳優という存在感でした。そして対するフェニックスは、スナイプスのサイコパス的な立ち回りが強烈なインパクトを放っており、何をしでかすかわからない不気味さと凶暴性のバランスがとても良かったです。
サンドラ・ブロック演じるヒロイン、レナ・ハクスリーも、20世紀のカルチャーに強い憧れを持っていて、スタローンとの価値観のズレがコメディ的にも機能していました。彼女の純粋な好奇心とリアクションが、作品に可愛らしさを与えてくれていたと思います。
作品全体として、未来のユートピアのような社会に、過去の価値観や暴力性がぶつかっていく様子がテンポよく描かれており、文化的なズレを笑いに変える視点が非常に面白かったです。荒削りながらも勢いがあり、アクション映画としての王道を行く作りに加え、ちょっとした皮肉や風刺も混じっていて、飽きずに観られる90年代アクション映画らしい魅力が詰まっていました。
☆☆☆☆
鑑賞日:2022/02/09 NETFLIX
監督 | マルコ・ブランビヤ |
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脚本 | ピーター・M・レンコヴ |
ロバート・レノウ | |
ダニエル・ウォーターズ |
出演 | シルベスター・スタローン |
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ウェズリー・スナイプス | |
サンドラ・ブロック | |
ナイジェル・ホーソーン | |
グレン・シャディックス | |
デニス・レアリー |