映画【カオス・ウォーキング】感想(ネタバレ):心の声があふれ出す惑星で起こるSF逃避行

CHAOS WALKING
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●こんなお話

 思考が駄々洩れの男性しかいない世界で宇宙から女性がやってきて追いかけっこになる話。

●感想

 2257年、人類が開拓した惑星「ニューワールド」では、何らかの出来事により女性が絶滅し、男性だけが暮らす世界が広がっている。さらに、この星では人々の「心の声」が他人に筒抜けになる「ノイズ」と呼ばれる現象が常に発生しており、思考が隠せない環境が当たり前になっています。

 ある日、宇宙から飛来した宇宙船が惑星に墜落し、主人公トッドはその残骸を発見。そこで出会ったのが、唯一の女性生存者であるヴァイオラ。女性を見るのが初めてのトッドは戸惑いながらも、彼女を村へ報告する。捜索隊が派遣されるが、実は村長プレンティスがヴァイオラの存在を脅威と捉え、仲間が到着する前に抹殺しようとしていることが判明します。

 ヴァイオラは村からの包囲を振り切って逃走。トッドは彼女を探し出し、追手から匿うことを決意する。2人は旅を続けながら、雨をしのいだり、食事を分け合ったりしながら徐々に信頼を築いていく。そして、ついに女性が存在する別の村にたどり着く。

 そこにはトッドの母の痕跡も残されており、彼がこれまで信じていた話──「母はエイリアンに殺された」──が、実は村長によって殺されていたという衝撃の真実が判明する。

 クライマックスでは、巨大宇宙船との通信をめぐって、ヴァイオラとトッド、そしてプレンティス村長との三つ巴の争いに発展。命をかけた攻防の末、ついに村長を倒し、空へ向けてメッセージを発信することに成功。重傷を負ったトッドが目覚めたとき、ヴァイオラの仲間たちによる第二陣が惑星に到着していた。でおしまい。

 この作品で印象的だったのは、他人の思考が可視化される「ノイズ」の設定。思考が浮かび上がる演出や映像表現には最初こそ興味を惹かれましたが、次第に過剰な演出が目につき、物語の進行を妨げる「本当のノイズ」になってしまった印象でした。

 また、エイリアンの存在が早々に退場してしまい、せっかく広がるはずのSF的世界観が狭まってしまったのももったいなかったです。物語の構成やキャラクター描写もどこか既視感のある展開で、斬新な設定に反してストーリーはやや平凡な印象を受けました。

 ユニークなコンセプトからはもっと多くの可能性を感じましたが、最終的には通信争いに終始するような展開にとどまり、心が突き動かされるような高揚感には少し欠けていたと思います。とはいえ、設定に魅力を感じた人や、SF冒険ものとして軽く楽しみたい人には一見の価値はあると思いました。

☆☆

鑑賞日:2024/06/12 Hulu

監督ダグ・リーマン 
脚本パトリック・ネス 
クリストファー・フォード 
原作パトリック・ネス
出演トム・ホランド 
デイジー・リドリー 
マッツ・ミケルセン 
デミアン・ビチル 
シンシア・エリヴォ 
ニック・ジョナス 
デヴィッド・オイェロウォ 
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