ドラマ【ブレイキング・バッド SEASON 1】感想(ネタバレ):化学教師が選んだ道、家族と運命の選択

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●こんなお話

 高校の化学教師の主人公が、肺がんで余命わずかと宣告されて、家族のために大金が必要と麻薬精製してお金を儲けようとするけど。様々な問題が出てきちゃう話。

●感想

 高校で化学を教える主人公は、日々真面目に仕事に取り組んでいたが、ある日突然、自身が重い病を患っていることを知る。余命わずかという診断を受けた彼は、家族に残すお金すら満足に用意できていない現実に愕然とし、そこから一つの決断を下す。自分の持つ化学の知識を使って違法な薬物を精製し、大金を稼ぐという禁断の道へと足を踏み入れていく。

 元教え子と再会し、彼のルートを使って覚せい剤の流通を始めることになるが、最初からうまくいくわけではない。製品の純度を高めるための研究と試行錯誤、取り引き相手のチンピラからの脅迫、身元を隠すための工作、義理の弟が麻薬捜査官であるという状況も加わり、すべてが張り詰めた緊張感の中で進んでいく。

 臨月の妻のためにまとまったお金が必要となり、よりリスクの高い取引に手を出さざるを得なくなっていく。小さな売買では限界があると判断し、思い切って凶暴で危険な男と手を組むことになるが、次第にその男との関係は破綻に向かっていく。主人公は殺人の是非に悩み、やがて死体を溶かして証拠を処理するまでに踏み込んでいく。犯罪者としての一線を越えていくその姿が、次第に淡々と描かれていく。

 生活のため、命のためにやっているはずだった覚せい剤の製造が、徐々に目的を変え、執着や誇り、そして自我の暴走のようなものへとすり替わっていく。その一方で、かつての同僚が開いたパーティーに出席し、彼が今や大金持ちとして優雅な暮らしを送っている様子を目の当たりにして、自分の選んだ道について複雑な思いを抱く場面もある。

 妻は、夫の病気を知ってもなお共に生きるため、治療を後押ししようとする。最初は治療を拒んでいた主人公も、やがて化学療法を受け入れ、抗がん剤の副作用に苦しみながらも生きようとする意志を見せる。妹が万引きの常習犯であることに気づき、心を痛める描写も含まれ、家族を守るという思いと、自分が抱えている秘密との間で苦しむ姿が丁寧に描かれている。

 高校教師という職業の現実的な厳しさ、給料の低さ、保険制度の不備といった社会的背景も物語にリアリティを加えていたように思います。生活のために洗車場でアルバイトを始めた主人公が、自分の生徒の車を洗うという屈辱的な状況に置かれ、プライドを押し殺しながら働く姿には胸を打たれました。

 映像の質も非常に高く、色調や構図、音楽の使い方も含めて、全体的にドラマとしての完成度が高かったです。どのエピソードにも緊張と緩和のバランスがあって、テンポもよく、物語が次にどう動いていくのかが気になって仕方がなくなるような中毒性を感じました。人間の弱さと強さ、善と悪が常に背中合わせで描かれており、ただの犯罪ドラマにはとどまらない深みのある作品だったと思います。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2014/08/09 Hulu 2022/12/05 NETFLIX

監督ヨハン・レンク
脚本ヴィンス・ギリガン
脚本ヴィンス・ギリガン
出演ブライアン・クランストン
アーロン・ポール
アンナ・ガン
ディーン・ノリス
ベッツィ・ブラント
RJ・ミッテ
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