映画【ブルークリスマス】感想(ネタバレ):青い血の正体とは?UFOと政府陰謀が交錯する異色ポリティカル・フィクション

Blue Christmas
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●こんなお話

 UFOと接触した人が青い血を流すってんで調査する記者や青い血を持った女性に恋をした特殊部隊員の話。

●感想

 記者である主人公は、友人から「ドラマ主演が決まった女優が“青い血”を流す」という不可解な噂を聞く。さらにある学会では、博士が突如UFOに関する話を持ち出して場が凍りつく。主人公が博士を調べていくと、「イカの血液の研究」や「青い血」というキーワードにたびたびぶつかり、次第に不穏な気配を察知していく。

 やがて女優は、来日したロックバンドとのスキャンダルによってドラマを降板。その後、異様に青白く変化した顔を恋人が目撃し、恐怖で逃げ出す。そして彼女は自殺。世界中ではUFOの目撃が相次ぎ、それに関連して「青い血に変化した人間」の存在が浮上する。

 主人公はニューヨークへ飛び、消息を絶っていた博士と接触。そこで「各国政府が“青い血の人間”を脅威とみなし、秘密裏に抹殺している」という衝撃の事実を知らされる。しかも博士は拉致され、協力者は自殺。帰国後、主人公には「この取材はなかったことに」と上司から命じられ、遠くパリに左遷されてしまう。

 一方、物語の後半は自衛隊員(勝野洋)と美容師(竹下景子)の悲恋へと転換。彼女もまた“青い血”の持ち主であると判明し、世界中で一斉に始まる抹殺命令に自衛隊員は苦悩する。やがて命令に従い、彼女を射殺。その後、上官に銃を向けるも自らも命を落とし、青い血と赤い血が交じるラストシーンが描かれる。

 岡本喜八監督らしい視覚的な演出や大胆なカット切り替えも見どころ。UFOと異形の存在が社会に入り込むというポリティカル・フィクションの設定は非常に興味深いものの、前半90分をかけて描かれる取材パートが冗長で、主人公(仲代達矢)の物語が後半に活かされないのは残念。

 後半の自衛隊員と美容師のドラマは悲劇的で印象深いものの、描写の時間が少なく、感情の変化や葛藤に説得力が欠けていたように感じました。全体としては、設定とビジュアルの強さはあるが、2つの物語が交錯しきれなかった印象。豪華キャストを揃えた東宝作品らしいスケールは感じられるが、惜しさが残る一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2010/05/10 DVD 2014/09/18 DVD 2023/07/17 U-NEXT

監督岡本喜八 
脚本倉本聰 
出演勝野洋 
竹下景子 
仲代達矢 
岡田英次 
八千草薫 
新井春美 
高橋悦史 
沖雅也 
岡田裕介 
潮哲也 
小沢栄太郎 
大滝秀治 
中条静夫 
芦田伸介 
中谷一郎 
島田正吾 
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