映画【アントキノイノチ】感想(ネタバレ)

Life Back Then (2011)
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●こんなお話

 遺品整理業をしながら悩みを抱える人たちの話。

●感想

 無縁社会の日本ということは、誰にでもありえそうで孤独死した人の家の遺品を整理するという仕事を見れるだけで面白い職業でした。この遺品整理の仕事と、吃音を持つ主人公とリストカットの傷を持つ女性の交流。そして、主人公が「友達を殺した」という回想。この3つで話が進みます。

 学校でいじめを受ける友達、更にそれを見て見ぬふりして自分自身もいじめの対象にされているのに笑って受け流す主人公。心が壊れるきっかけとなる友達の自殺シーンは、衝撃的なカットでした。友達の死、そして主人公に対して更に酷くなるいじめ、主人公の心が壊れて爆発するシーンで。同級生達、先生までもが人に対して無関心。無関心、この演出はちょっと笑ってしまいましたが。主人公が「死ぬときは1人だけど、生きているときは誰かと繋がっていたい」という台詞があったように。主人公が壊れてしまい、自分の居場所の存在すらわからなくなってしまうのは当然だと感情移入できてみることが出来ました。

 ヒロインの榮倉奈々さんも過去に傷ついた経験をしていますが、こちらは台詞での説明ですが。榮倉さんの感情を爆発させる熱演で、説明的だと感じさせずに気持ちを知ることが出来るので素晴らしかったです。生きる意味を失った孤独。

 似たもの同士の2人が遺品整理をしていくうちに、死んだ人が残していった物。そして、遺族。あん時の命のリレーが次の世代、今を生きる主人公達へと受け継がれるのだと感動を与えてくれました。

 悩める主人公達を支える遺品業者の先輩の原田泰造さんは、不安定な主人公に対してどっと構えてる役どころで安心感を与えてくれる良いキャラクターだったと思います。最後に涙をこらえながら仕事をする姿に感動しました。

 ただ、よかっただけに命のリレーを表現するために最後にヒロインに起こる出来事は果たして必要だったのか謎でした。あれがあることによって、長さを感じてしまいました。ラストの展開がいらなかったんじゃないかと思ってしまって残念でした。

☆☆☆

鑑賞日:2011/11/19 TOHOシネマズ南大沢

監督瀬々敬久 
脚本田中幸子 
瀬々敬久 
原作さだまさし
出演岡田将生 
榮倉奈々 
松坂桃李 
鶴見辰吾 
檀れい 
染谷将太 
柄本明 
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