映画【亜人】感想(ネタバレ):日本発アクション映画の限界と可能性|映像は迫力十分でも物語は薄味

ajin
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●こんなお話

 死んでも何度でもよみがえる【亜人】と呼ばれる新種が内輪もめする話。

●感想

 日本のアクション映画として見れば、かなり頑張っていて迫力もあって、アクションやCGに全力を注いでるのが伝わってきました。アクション班やCG班の本気が感じられて、純粋に「日本でもここまでできるんだ」と楽しむことができました。

 ただ、その評価はあくまで「日本のアクション映画」としてのもので、世界的なアクション映画と比べてしまうと、どうしても物足りなさが残ります。海外にはこれよりも激しく、熱くなれる作品が山ほどあるので、100分という時間もそこまで盛り上がらずに終わってしまった感じがあったり。

 この作品はアクション重視のスタイルなので、アクションで盛り上がれなければ他の部分でもテンションが上がらなかったです。むしろ、アクション以外の部分が弱いせいで、その弱さばかりが目立ってしまった印象でした。

 ストーリーもツッコミどころが多くて、主人公が敵の亜人に助けられる場面では、その敵が人間を虐殺しているのを見て「一緒にはなれない」と拒否しますが、その理由が「なんとなく嫌いだから」という曖昧なもので、説得力がなく。敵の目的もよくわからなくて、ただのテロリストにしか見えなかったり。もっと「亜人の人権を守る」とかの明確な動機があれば、対立構造にも深みが出たと思います。

 政府側の対応もお粗末で、毎回同じような銃撃戦ばかりやってるので「他に方法はないのか?」と疑問に感じました。作中では亜人同士で殺し合ったあとに頭を切り取ってドラム缶に入れてたりしてたから、割と簡単に対処できそうなのに、特殊部隊の面々はそれすら思いつかないようでした。

 さらに、亜人が使う「黒い幽霊」についての説明もほとんどなくて、主人公だけが複数体出せる設定があるのに、そこが物語に活かされていないのももったいないと思いました。政府に協力している亜人も登場するけど、なぜその立場にいるのかの説明もなく。もっと「亜人VS亜人」や「亜人VS人間」といった構図がしっかり描かれていれば、作品自体にもっと深みが出たはずと感じました。

 そして一番残念だったのが、銃撃戦。おもちゃの銃で遊んでいるようにしか見えなかったり。アクション映画としての見せ場であるはずのバトルも、結局は海外の作品に迫力で負けてしまっていたのが残念なところだでした。

☆☆

鑑賞日: 2018/04/22 Blu-ray

監督本広克行 
脚本瀬古浩司 
山浦雅大 
原作桜井画門
出演佐藤健 
玉山鉄二 
城田優 
千葉雄大 
川栄李奈 
浜辺美波 
綾野剛 

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