●こんなお話
アウトロー刑事の破滅の話。
●感想
関西を舞台に、ヤクザ同士の抗争が激化する中、警察は捜査本部を設置し、本部長の訓示のもと、徹底した捜査体制が敷かれます。そんな中、主人公は暴力をも辞さない型破りな刑事で、ヤクザの子分と素手で喧嘩しながら逮捕するようなやり方を取り、警察内部でも問題視されています。
かつて射殺事件を起こし、その情婦を自分の愛人にしてしまった過去がある主人公。さらには、彼女との関係やギャンブルなどが問題となり、彼自身が堕落の道をたどっていきます。
ある日、主人公は対立していたヤクザの若頭と殴り合いをきっかけに奇妙な絆を育み、やがて義兄弟の契りを交わすまでの関係になります。若頭の求める情報を主人公が裏で収集し、二人の間に「信頼にも似た共闘関係」が築かれる。
物語では、元警察官が多く在籍する企業がヤクザと警察の橋渡しをしながら利権をむさぼっている実態も描かれ、腐敗した社会構造が浮き彫りになります。最終的に若頭は逮捕・拘留され、看守によって殺害され、主人公も薬物で精神を破壊されていく。
物語のクライマックスでは、主人公が警察本部の会議室に乱入し、自分を追い込んだ人間たちに銃を乱射して皆殺しに。最後は刑事に銃口を向けられておしまい
冒頭の、ヤクザにボコボコにされていた男が実は警察だったというオープニングは衝撃的で、観る者を一気に引き込みます。主人公は、自己中心的にしか動かず、常に孤独で堕ちていくキャラクターですが、その破滅的な魅力に惹かれました。
また、彼と義兄弟になるヤクザが在日朝鮮人であり、ヒロインも朝鮮人と日本人のハーフ、主人公は大陸からの引揚者というように、社会のマイノリティが複雑に絡み合う構成は、社会派ドラマとしての側面も感じさせます。
しかし、元警察の天下り企業やヤクザとの癒着、在日問題など、テーマが多岐にわたる一方で、それぞれの描写がやや中途半端に感じられる部分もありました。
そしてラスト、主人公が射殺される直前にピースサインを出すという演出は、観る人によって解釈が分かれる象徴的なシーンでやや戸惑いを覚える締めくくりとなっています。
☆☆☆
鑑賞日: 2013/03/24 DVD 2024/10/31 U-NEXT
| 監督 | 深作欣二 |
|---|---|
| 脚本 | 笠原和夫 |
| 出演 | 渡哲也 |
|---|---|
| 梶芽衣子 | |
| 藤岡琢也 | |
| 今井健二 | |
| 矢吹二朗 | |
| 小林稔侍 | |
| 松本泰郎 | |
| 檀喧太 | |
| 奈辺悟 | |
| 丸平峰子 | |
| 有川正治 | |
| 八名信夫 | |
| 島田秀雄 | |
| 藤長照夫 | |
| 志茂山高也 | |
| 大島渚 | |
| 成田三樹夫 | |
| 芦田鉄雄 | |
| 藤岡重慶 | |
| 室田日出男 | |
| 金子信雄 | |
| 川谷拓三 | |
| 白川浩二郎 | |
| 笹木俊志 | |
| 井上茂 | |
| 佐藤慶 | |
| 林彰太郎 | |
| 成瀬正 | |
| 白井孝史 | |
| 友金敏雄 | |
| 笠原和夫 | |
| 織本順吉 | |
| 菅井きん | |
| 野口貴史 | |
| 八木孝子 | |
| 中村錦司 | |
| 片桐竜次 | |
| 梅宮辰夫 |


