映画【レディ・プレイヤー1】感想(ネタバレ):VR世界で描かれる冒険と友情、圧巻のビジュアル体験

ready-player-one
スポンサーリンク

●こんなお話

 みんながみんなテレビゲームにハマっている未来で、ゲームの創始者が亡くなってゲームの中に隠した3つのキーアイテムを探すと全部の権利を渡すって遺言があって、みんなでそのキーアイテムを探す話。

●感想

 人類の大半が現実ではなく、仮想空間に生きている時代。その名も「オアシス」と呼ばれる巨大VR空間では、生活、仕事、娯楽、教育、すべてがそこで完結していた。創設者である天才プログラマーが亡くなった後、彼の遺言が公開され、オアシス内に隠された3つの鍵を手にした者が全遺産を相続できるという発表がなされたことから、世界中の人々がその“宝探し”に夢中になる。あまりにも大きすぎる遺産、そしてそれを支配しようとする巨大企業もまた、動き始めていた。

 主人公の少年は、トレーラーが縦に積み重ねられた貧困層の地域で暮らしながらも、オアシスの中では創設者の思想や好みに誰よりも深く共感し、彼の人生や好きだった映画、ゲームの細かな点まで研究していた。周囲の人々が表面的なヒントに右往左往する中、彼は視点を変え、創設者の“心”に寄り添うことで突破口を見出していく。

 最初の試練は、レースゲーム。ヒロインが「AKIRA」の金田のバイクに乗って登場し、彼女と共に白熱のバトルを繰り広げながら、主人公はコースを逆走するという常識外れの行動で初めての鍵を手に入れる。その攻略法を仲間にも伝えたことで、少しずつ信頼が集まり、仲間ができていく。

 そんな中、ゲーム内での活躍が現実世界にも影響を及ぼすようになり、主人公は大企業に目をつけられる。買収や脅迫に屈しない姿勢を見せたため、現実での生活にも危険が及び、ついには共に暮らしていた叔母が巻き込まれて命を落としてしまう。

 第2の試練では、創設者が一度だけ女性とデートに行った映画『シャイニング』の世界に飛び込む。ホラー映画の舞台をなぞるような展開に恐れつつも、創設者の内面を読み解くことで2つ目の鍵を獲得。そこには、彼の孤独や淡い恋心までもが映し出されていた。

 やがて、ヒロインが現実世界で大企業に捕らえられてしまい、主人公たちは仲間と共に彼女を救出するために奔走する。仮想と現実が交錯する中、最後の試練に挑む主人公たち。オアシス内では壮大な戦いが繰り広げられ、メカゴジラやチャッキー、ガンダムなど、お馴染みのキャラクターたちが続々と登場。ゲーム内の争いが最高潮に達する中、現実でも追っ手との激しい逃走劇が繰り広げられていく。

 最終的に、主人公はゲームの本質を見抜き、「勝ち方」ではなく「心を汲む」ことが大切だと理解し、ドットを集めるという行動で最後の鍵を獲得する。すべての謎が解け、仮想世界の支配権を手に入れた彼は、現実の世界でも企業の陰謀が暴かれて平穏を取り戻し、ヒロインとの新しい人生が始まっていく。

 映画の中では、名作映画や名作ゲームのキャラクターたちが数多く登場し、見ているだけで懐かしさと興奮がこみあげてくる時間を過ごせました。とくに「80年代的な空気」が全体を包んでいて、アンブリン映画のような少年冒険譚の雰囲気に浸ることができたのが印象的です。

 ただ、謎解きがメインの物語構成ではあるものの、トリックが解けた時の高揚感や驚きにはあまり繋がらず、どちらかといえばストーリーそのものよりも、映画内に散りばめられたオマージュの数々に意識が向いてしまいました。仮想世界の映像は非常に作り込まれていて目を引きましたが、CG描写によりキャラクターの質感がやや薄れてしまっていたのは惜しく感じました。特撮や実写で親しんだキャラクターたちがCGで動くと、少し距離を感じてしまうこともあったように思います。

 むしろ、現実パートで描かれる企業の追跡からの逃走劇や、仲間たちとの地道な連携の方により強く惹かれました。自分としては、そちらに比重を置いた展開をもっと観てみたかった気もいたします。とはいえ、仮想世界のスリルと現実世界のドラマが絶妙に混ざり合った、エンタメ性の高い作品だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2018/05/14 TOHOシネマズ川崎 2018/11/13 Blu-ray 2023/04/08 NETFLIX

監督スティーブン・スピルバーグ 
脚本ザック・ペン 
アーネスト・クライン 
原作アーネスト・クライン
出演タイ・シェリダン 
ベン・メンデルソーン 
オリヴィア・クック 
サイモン・ペッグ 
マーク・ライランス 
森崎ウィン 
T.J.ミラー 

コメント

タイトルとURLをコピーしました