映画【超高速！参勤交代】感想(ネタバレ):知恵と団結の痛快時代劇コメディ

●こんなお話

　福島の貧乏な小藩が隠し金山の疑いがかけられて、通常1年で参勤交代するはずなのに5日で参勤せよ。という上意がくだって、大急ぎで江戸までダッシュする話。

●感想

　参勤交代という江戸時代の制度をテーマにしながら、その仕組みや背景を自然と知ることができる楽しさがある映画でした。どんな命令が下されて、今どれだけ苦しい状況に置かれているのか、という緊迫したスタートから、主人公たちが無理難題に対して知恵と力で突破していく姿を、出発から到着までずっと楽しく見ることができました。

　閉所恐怖症だけど人柄の良いお殿様を筆頭に、少人数のメンバーで山道を駆け抜けながら、宿場町ごとに工夫を凝らして中間たちを集め、身なりを整えて大名行列をなんとか成立させようと奮闘する。だが当然うまくいかず、「さあ、どうする？」という展開がとても面白く、笑いながら見守ることができました。

　家臣たちも魅力的で、特に家老役の西村雅彦さんは、安心感のある演技で笑いのパートをしっかり支えていました。伊原剛志さん演じる忍びも最初は金目当てだったが、無邪気なお殿様の誠実さに触れて心が変わっていく様子がカッコよくて見応えがあったり。

　殺陣やアクションもテンポよく、工夫されていて見ごたえがありました。最初は竹光で戦うしかなかった田舎侍たちが、最後には本気で立ち向かって大暴れするクライマックスはとても熱かったです。

　ただ個人的には、中盤で女郎のヒロインが合流するあたりは、少しテンポが緩く感じてしまい、物語のスピードが落ちた印象だったのが惜しかったです。

　とはいえ、悪事を働いた政治家がきっちり成敗される終わり方は、現実ではなかなか見られないスカッとする展開で、観ていて気持ちがよかったです。全体的に笑えて、爽快感もあり、満足度の高い娯楽時代劇でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2014/06/21　TOHOシネマズ南大沢