映画【名探偵ピカチュウ】感想(ネタバレ):ポケモンと人間が共に生きる都市で始まる冒険

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●こんなお話

 父親の死の真相を探るうちに記憶喪失のピカチュウとともに陰謀に巻き込まれる話。

●感想

 探偵だった父の訃報を受けて、息子である主人公は、かつて父が暮らしていた街へと足を運ぶ。そこは人間とポケモンが共存して暮らす、にぎやかで不思議な都市。訪れた父の部屋で彼は、記憶を失った一匹のピカチュウと出会う。しかもそのピカチュウは、人間の言葉を話し、なぜか主人公にだけ声が届く。この奇妙な出会いをきっかけに、父の死の裏側には何か隠された真実があるのではと考えた主人公は、若手の女性記者と協力しながら事件の真相を追い始める。

 物語は、謎を紐解いていくミステリーの要素と、ポケモンとの冒険というファンタジーがバランスよく織り交ぜられながら進んでいく。街の中を歩けば、当たり前のようにポケモンたちが人間と共に生活しており、働く姿も見られる。その風景は、ポケモンに詳しくなくても惹かれるものがあって、映像の作り込みからこの世界が実在するのではと思わせるほどでした。背景に映るビルの合間や路地裏、カフェの中や警察署など、あらゆる場所にポケモンが自然に存在していて、作品の世界観をより豊かにしていたと思います。

 謎解きやバトルといった見せ場もしっかり盛り込まれていて、テンポよく物語が進む構成も、飽きずに観られる要素の一つでした。特に森がうねるように盛り上がって巨大な壁となり、主人公たちを飲み込むように迫ってくるシーンは、映画ならではのスケール感で、視覚的にも驚かされる場面だったと感じます。家族で楽しめる作品として、幅広い世代が観ても楽しめる内容だったのではないかと思います。

 ただ、物語のクライマックスに描かれる真犯人の計画には、やや理解が追いつかない部分もありました。ポケモンを狂暴化させるガスを使って混乱を巻き起こすという展開ではありましたが、その動機や狙いがふわっとしていて、何のための行動だったのかが曖昧に感じられてしまいました。ピカチュウの戦いは見せ場として盛り上がる部分があったのですが、それ以外の戦闘シーンは、ただ揉み合っているだけに見えてしまい、緊張感があまり持続しなかった印象です。真犯人があまりにも無防備で、突入されるとあっけなくやられてしまう描写にも、物語の重みがやや削がれてしまったように感じました。

 そして主人公の少年についてですが、彼自身の人物像がいまひとつ掴みにくく、物語を引っ張っていくキャラクターとしての魅力が薄かったように思います。もう少し、彼の成長や感情の動きが見られる場面が多ければ、さらに物語に入り込めたかもしれません。また、ケン・ワタナベさんが演じる役柄がほとんど何もしない立ち位置だったのも、少し意外で、活躍の場面があると嬉しかったというのが正直な気持ちです。

 それでも、ポケモンと人間が自然に共存する世界を映像として体験できる楽しさや、かわいらしく頼もしいピカチュウの存在感は大きく、ファミリー向けの娯楽作品として十分に楽しめる一作だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2019/10/31 Blu-ray 2020/04/14 WOWOW

監督ロブ・レターマン 
脚本ロブ・レターマン 
ニコール・パールマン 
出演ジャスティス・スミス 
キャスリン・ニュートン 
渡辺謙 
ビル・ナイ 
リタ・オラ 
スキ・ウォーターハウス 
出演(声)ライアン・レイノルズ 

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