●こんなお話
廃駅の地下鉄オクス駅で孤児院の悲劇が明らかになる話。
●感想
オクス駅のホームで終電を待っていた男性は、様子のおかしい女性に気づく。女性は酒に酔っているように見え、男性はスマートフォンでその姿を撮影し、友人たちとのグループチャットに写真を投稿する。すると友人から、その女性は幽霊ではないかというメッセージが届く。男性が再びホームを見ると、先ほどまでそこにいた女性の姿は消えている。その直後、列車のドアが開き、男性が線路を覗き込んだところで突然ドアが閉まり、首を挟まれて死亡する。
一方、駆け出しのウェブ記者ナヨンは、以前に駅で撮影した人物を女性だと思い込み、その写真を記事に掲載したことで問題を起こしていた。掲載した人物は実際には男性で、本人から記事の訂正と賠償を求められる。会社側もナヨンに責任を取るよう迫るが、社長は自分たちの責任を認めようとはせず、賠償金を補えるほどのアクセスを稼ぐ新しい記事を書けとナヨンに要求する。
そこでナヨンは、オクス駅で働いている友人チェ・ウウォンに、記事になりそうな事件がないか尋ねる。ウウォンが話したのは、オクス駅の廃止された地下部分で男性が線路に飛び込み、死亡した事件だった。その男性は死ぬ直前に線路上の子どもを見ていたようで、ウウォン自身も現場で子どもの姿を目撃していた。さらに、遺体を処理した湯灌師も同じような子どもを見たと話していたことから、ナヨンはこの事件を取材することにする。
ナヨンは湯灌師から、オクス駅で死亡した人々の遺体には、共通して爪で引っかかれたような不自然な傷が残っていたことを聞く。さらに、駅の事故で死亡した男性に関わった運転士にも話を聞く。ところが運転士はナヨンとの会話の中で、意味の分からない数字を繰り返し口にする。
ナヨンは取材した内容を記事にし、記事は大きな反響を呼ぶ。しかし、その後の確認で、ナヨンが運転士から話を聞いた時点では、その運転士はすでに死亡していたことが判明する。会社に残された監視カメラの映像を確認すると、ナヨンが運転士と話していたはずの場所にはナヨンしか映っていなかった。ナヨンが会話していた相手は、生きている人間ではなかったのである。この事実を受け、ナヨンは記事の訂正をすることになる。
さらに調査を続けるナヨンのもとへ、オクス駅で死亡した男性の妹が訪ねてくる。妹は兄と自分には幼少期の記憶がほとんどなく、過去を思い出そうとすると、決まって井戸のイメージが浮かぶと話す。ナヨンは、この井戸こそオクス駅で起きている怪異と関係しているのではないかと考え、古い資料を調べる。
調査の結果、現在は使われていないオクス駅の周辺には、かつて児童養護施設が存在していたことが分かる。さらに、怪死した人々に残されていた爪の傷、駅で目撃される子ども、そして何度も登場する数字が一つにつながっていく。
ウウォンは以前、廃駅で目撃した子どもの服についていたタグを確認していた。そのタグには数字が記されていた。そして、その数字を口にしたウウォンの身体にも異変が起こり、爪で引っかかれたような傷が現れる。
ナヨンはさらに、死亡した男性の妹から父親の遺品を整理したことで幼少期の記憶が戻ったという話を聞く。そこで明らかになるのは、かつて妹の父親が児童養護施設を運営していた事実。
その施設では、家庭で育てられない子どもたちを預かり、養親へ引き渡しているように見せかけながら、実際には子どもたちを臓器売買に利用していた。子どもたちにはそれぞれ番号の付いたタグを付けられ、手術によって臓器を取り出された後、その存在を隠すため井戸へ捨てられていた。
男性の妹自身も、その施設で育った子どもの一人だった。彼女は施設の経営者を父親だと思っていたが、実の娘ではなかった。彼女も一度は井戸に入れられたものの、兄が泣きながら助けを求めたことで井戸から引き上げられ、生き残ることができた。しかし、ほかの子どもたちは助からなかった。
施設では子どもたちを番号で管理しており、子どもたちは自分の番号を呼ばれれば井戸から出してもらえると信じていた。しかし実際には、施設側が事件の証拠を隠すため、子どもたちは井戸の中に生きたまま埋められていた。
事件の真相を知ったナヨンは、ウウォンとともに廃駅の奥へ向かう。二人は問題の井戸を見つけ、周囲の土を掘り返す。すると土の中から子どもの白骨が現れる。そして、その場所から多数の子どもたちの霊が姿を現し、ナヨンとウウォンを取り囲む。
ナヨンは子どもたちに対して、この事件を隠されたままにはせず、自分が必ず世間に公表すると約束する。その言葉を聞いた子どもたちは一斉に叫び声を上げ、その後、姿を消す。ナヨンは警察へ通報し、子どもたちの遺骨も発見されたことで、これですべてが終わったかに見える。
ウウォンは、自分の身体にあった爪の傷が消えていることに気づく。さらに、怪死した人間の遺体を扱ってきた湯灌師にも以前は同じような傷があったはずなのに、現在は傷が消えていることを不審に思う。ナヨンたちが問い詰めると、呪いには別の人間へ移す方法があることが分かる。
子どもたちの事件について知っている人物に、子どもたちの番号を言わせる。すると、その番号を口にした人物へ呪いが移る。つまり、事件の真相を知り、数字を口にした者が呪いの新たな対象になる仕組みだった。
子どもたちが身につけていた数字は、単なる管理番号ではなく。子どもたちは自分の番号を呼ばれることを、誰かが自分を助けてくれる合図だと信じていた。しかし、その数字を生きている人間が口にすることで、怪異がその人間へ移っていく。
自分が死ぬことを恐れたウウォンは、自分にかかった呪いをナヨンへ移すことを決める。ウウォンはナヨンに新しい携帯電話を買ったと伝え、その電話番号を教える。その番号にはウウォンが呪われた原因となった数字が含まれており、ナヨンがその番号を口にしたことで、今度はナヨンの腕に爪で引っかかれたような傷が現れる。ウウォンは自分が助かるために、友人であるナヨンへ呪いを移した。
一方、社長は、ナヨンが調べた児童養護施設や井戸について記事にすることを拒んでいた。ナヨンがさらに調べると、社長自身も過去に井戸について記事にしようとしたものの、会社の上層部から掲載を止められていたことが分かる。
そして社長は、ナヨンが取材してきた内容を利用しながら、自分たちに都合の悪い部分を削って記事にしていた。児童養護施設や井戸に隠された事件を世間に伝えるのではなく、アクセスを稼ぐために都合のいい部分だけを利用していたことがわかる。
やがてナヨンは会社から自宅待機を命じられる。自分が苦労して調べた事件を会社側に利用され、さらに真相を隠そうとする社長に対して、ナヨンは怒りを募らせる。
ナヨンは辞表を用意して社長のもとへ向かう。そして、なぜ井戸について報じないのか、過去の児童養護施設で起きた事件を隠しているのではないかと問い詰める。しかし社長は、ナヨンが勝手な妄想をしているだけだとして取り合わない。
そこでナヨンは社長に一枚のメモを渡し、その紙に書かれた数字を読み上げてくれれば、自分は辞表を提出して会社から消えると告げる。事情を知らない社長は、ナヨンに言われた通り、その数字を読み上げる。
社長が数字を口にしたことを確認したナヨンは辞表を机の上に置き、そのまま社長室を出ていく。その直後、社長室から悲鳴が聞こえる。ナヨンは振り返らず、そのまま歩き去っておしまい。
黒い子どもが突然姿を現す場面は、普通に怖かったです。暗い場所に何かがいることを予感させてから登場するのではなく、こちらが油断しているところへ急に現れるので、驚かされました。オクス駅という日常的な場所を舞台にしていることも、怪異を身近に感じさせます。
ただ、物語そのものについては、『リング』などのジャパニーズホラーで見たことのある展開がかなり多い印象でした。過去に起きた悲劇が現在の怪異につながっていて、その悲劇の真相を明らかにすれば霊が救われると思わせておきながら、実際にはそれだけでは終わらないという構成です。
特に、子どもたちがなぜ怪異として現れるのかを調べていくうちに、過去の悲劇と現在の事件がつながっていくところは、ホラー映画としては既視感もありました。
さらに面白いのが、事件の真相を明らかにして子どもたちを救ったと思った直後に、「実は呪いを他人へ移さなければ助からない」という仕組みが出てくるところです。ここからは、怪異そのものよりも「自分が助かるためなら、誰かに呪いを押しつけてもいいのか」という人間側の行動が気になってきます。
個人的には、黒い子どもが突然現れるような直接的な恐怖のほうが印象に残りました。対して、呪いのルールや過去の事件については、どこか既視感のある部分もあり、物語で強く驚かされるというより、次に誰へ呪いが移るのかを見る映画という印象でした。
それでも、最後にナヨンが社長へ呪いを移して立ち去る展開はよかったです。最初は記事の失敗で会社から責任を追及されていたナヨンが、最後には自分を利用した社長に対して自ら呪いを返す立場になります。ホラーとしての恐怖だけでなく、呪いを利用して生き残ろうとする人間の姿まで描いているところは興味深かったです。
☆☆
鑑賞日:2026/08/11 U-NEXT
| 監督 | チョン・ヨンギ |
|---|---|
| 脚本 | 高橋洋 |
| イ・ソヨン | |
| 脚本協力 | 白石晃士 |
| 原作 | ホ・ラン |
| 出演 | キム・ボラ |
|---|---|
| キム・ジェヒョン | |
| シン・ソユル |

