映画【幽幻道士(キョンシーズ)】感想(ネタバレ):テンテンと子どもたちが暴れる台湾キョンシー映画

Hello Dracula
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●こんなお話

 死人が蘇って襲うキョンシーがいる世界で大道芸人の子どもたちがトラブルを起こしていく話。

●感想

 大道芸人の親方に連れられて旅をしている孤児の子どもたち、チビクロ、スイカ頭、デッパ、チビトラは、各地を巡業しながら暮らしていた。子どもたちは毎日のように騒ぎを起こしており、親方に怒鳴られながらも賑やかに生活している。大道芸をしながら各地を転々としているものの、暮らしは決して豊かではなく、親方も仕事を取るために必死だった。

 ある日、一行は山道を移動中に、複数のキョンシーを操る道士と遭遇する。黄色い札を貼られたキョンシーたちは、両手を前に突き出しながらピョンピョン飛び跳ねて移動しており、子どもたちはその奇妙な姿に大興奮する。道士は厳しく近づくなと警告するが、好奇心を抑えきれなかった子どもたちは、こっそりキョンシーへ近づいてしまう。

 そして悪ふざけ半分でキョンシーの額に貼られていた札を剥がしてしまったことで、封印されていたキョンシーが暴走を始める。キョンシーが突然動き出し、周囲は大混乱となる。道士は必死に術を使って制御しようとするが、騒ぎの最中に親方がキョンシーへ接触し、自分の影を踏まれてしまう。何とかキョンシーを封印する。作中では「キョンシーに影を踏まれると魂へ異変が起きる」と言われる。

 騒動後、大道芸の契約もうまくいかなくなり、子どもたちへ暴力的な態度を取るようになる。やがて親方は児童虐待を疑われ、警察へ連行されてしまう。

 突然居場所を失ったチビクロたちは途方に暮れるが、そんな彼らを引き取ったのが道術師の金おじいさんだった。金おじいさんは妖怪やキョンシー退治を生業としている人物で、孫娘のテンテンと一緒に暮らしている。テンテンは活発で愛嬌のある少女であり、チビクロたちともすぐに打ち解ける。こうして金おじいさんの家での共同生活が始まり、賑やかな毎日が続いていく。

 その頃、子どもたちは以前見たキョンシーを思い出し、またしても悪ふざけを始める。彼らはキョンシーをマンホールの中へ落として遊び、その際に額のお札が剥がれてしまう。封印を失ったキョンシーは再び自由に動き始め、不穏な空気が漂い始める。

 一方、牢屋へ入れられていた親方の前にキョンシーが現れる。警察署内は大混乱となり、署長たちも逃げ惑う。親方は最初こそ逃げ出そうとするものの、襲われた署長を見て助けようと戻る。しかしその際にキョンシーから噛まれてしまい、致命的な傷を負ってしまう。

 親方の死を知ったチビクロたちは深く悲しむ。いつも怒鳴っていた親方だったが、彼らにとっては家族同然の存在だった。どうしてももう一度会いたいと願った子どもたちは、テンテンへ頼み込み、道術を使って死後の世界へ向かおうとする。

 テンテンは未熟ながら術を行うが、儀式は失敗してしまう。その結果、親方は成仏できず、キョンシーとして蘇ってしまう。復活した親方キョンシーは理性を失い、自分を騙した大道芸の業者を襲撃し、さらに警察署長にも襲いかかる。

 金おじいさんは親方キョンシーを止めるため、法術や護符を駆使して立ち向かう。桃木剣や札を使った道術バトルが展開され、チビクロたちも逃げ回りながら騒動へ巻き込まれていく。終盤では、金おじいさんが子どもたちを再び死後の世界へ送り込み、親方の魂を封じ込めるための儀式を敢行する。

 子どもたちは親方との別れを受け入れながら、金おじいさんの術によって親方キョンシーを封印することに成功する。こうして騒動は収束し、チビクロたちはテンテンや金おじいさんと共に新たな生活を歩み始めておしまい。


 テンテンの可愛さがよかったです。明るく元気で、道術を使う少女というキャラクターがとにかく魅力的で、当時日本で大人気になった理由がよくわかります。チビクロたちと一緒に騒ぎ回る姿も可愛らしく、作品全体の楽しさを引っ張っている存在でした。

 作品全体はかなりコミカルに作られていて、子どもたちが次々と騒動を起こしていくドタバタ劇として進んでいきます。キョンシーがピョンピョン飛び跳ねる姿や、金おじいさんの道術など、今見ても独特の楽しさがあります。ただ、その一方でアクションシーンは想像以上に本格的で驚きました。

 特にキョンシーとの戦いでは、動きや激しい格闘が多く、テンポも非常に良いです。コミカルな雰囲気から急に本格アクションへ切り替わるので、そのギャップも含めてかなり盛り上がりました。昔の台湾映画特有の勢いが全編に詰まっていて、エネルギーの強い作品だと感じます。

 ただ、改めて見ると、子どもたちのいたずらがかなり深刻な結果を招いている映画でもありました。キョンシーのお札を剥がしたり、マンホールへ落として遊んだりと、本人たちは悪気なく騒いでいるのですが、そのせいで死人まで出てしまうので、「いたずら」では済まないレベルの騒動になっています。そのあたりを深く考え始めるとかなり危険な話でもありますが、映画自体はあくまで子ども向け冒険コメディとして勢いよく進んでいくので、不思議と重くなりすぎないバランスになっていました。

 また、親方との関係性も印象的でした。怒鳴ってばかりで乱暴な親方なのに、子どもたちが「もう一度会いたい」と願う流れには少し切なさがあります。終盤ではキョンシー映画でありながら、家族の物語としてもまとまっていて、単なるホラーコメディでは終わらない余韻がありました。

 今見ると特殊効果やセットには時代を感じますが、それも含めて独特の味になっています。日本でキョンシーブームが巻き起こった理由を体感できる作品であり、テンテン人気を含めて当時の熱狂を想像しながら見るとさらに楽しい一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2026/06/01 DVD

監督チャオ・チュンシン
出演リュウ・ツーイー 
リュウ・ツーハン 
チェン・ツーチャン 
チャン・タイスン 
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