映画【おさるのベン】感想(ネタバレ):愛するチンパンジーの暴走劇

Primate
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●こんなお話

 飼っていたチンパンジーが病気で凶暴化して大変な話。

●感想

 大学生のルーシーは夏休みを利用してハワイの実家へ帰省する。広大な敷地を持つ自宅では、父で人気作家のアダム・ピンバラと幼い妹エリン、そして家族同然に育てられてきたチンパンジーのベンが暮らしている。ベンは幼少期から家族と共に生活してきた賢い個体で、特にエリンとは兄妹のように親密な関係を築いている。

 ルーシーは幼なじみで想いを寄せるニック、親友ケイト、その友人ハンナを招き、豪邸でプール遊びや食事を楽しむ。開放的な南国の空気の中で若者たちは笑い合うが、ベンの視線や仕草にわずかな違和感が漂い始める。

 ある夜、庭に現れたマングースと接触したベンは噛まれた傷を負う。その後から様子が変わり、落ち着きがなくなり、目つきが鋭くなる。翌日には興奮状態が強まる。

 やがてベンは突発的に攻撃を開始する。最初の襲撃でエリンが重傷を負い、ルーシーたちは混乱に包まれる。狂犬病に感染した可能性が示唆され、理性を失ったベンはかつての穏やかな姿を完全に消し去る。ルーシーたちは泳げないベンから逃れるため一時的にプールへ飛び込むが、長時間とどまることはできず、外部へ助けを求めようと携帯電話を探す。

 電話を受けて駆けつけた若者二人は状況を軽視して現場に到着するが、ベンに遭遇し、一撃で顎を砕かれて絶命する。惨状を目の当たりにした車まで逃げてで突破を試みたりするが、計画は失敗する。

 ベンの姿が見えなくなった隙に室内へ戻り、クローゼットに隠れるが、家具や壁を破壊して迫るベンの圧力に追い詰められていく。連絡が取れない娘たちを案じたアダムが帰宅し、惨状を目撃する。

 アダムは娘たちを守るためベンと対峙し、ルーシーとエリンも加わって必死の攻防を繰り広げる。素手での殴り合いと鈍器による応戦の末、家族はかつて愛した存在を止める決断を下す。壮絶な格闘の果てにベンは動きを止め、邸宅は静寂に包まれる。生き残った家族は傷だらけになりながらも抱き合い、長い悪夢の一夜を乗り越えておしまい。


 冒頭の医師が襲われる場面から一気に緊張感が高まり、容赦のないスプラッター描写で観客を引き込む導入は印象的でした。チンパンジーという本来は愛らしい存在が持つ身体能力の高さが、そのまま脅威へ転化する点は非常に説得力があり、腕力や俊敏さが映像としてしっかり伝わってきます。

 一方で、愛するペットが徐々に変貌していく心理的な過程が十分に描かれていないため、最初から不穏さが前面に出てしまい、喪失の痛みよりも即物的な恐怖が先行している印象を受けました。家族の情愛と凶暴化の落差をもう少し積み重ねていれば、より胸に迫る展開になったようにも感じます。

 若者同士の恋愛模様や軽妙な会話が前半に続きますが、それが後半の惨劇と強く結びつくわけではなく、構成面ではやや散漫に映りました。襲撃後はほとんどが室内での攻防となるため、スケールは限定的です。ただ、その閉鎖空間での圧迫感は一定の効果を生み、逃げ場のない恐怖を体感させる作りにはなっています。

 総じて、アイデアの強さとゴア描写の勢いが際立つ一作であり、動物パニックという題材の持つ原始的な恐怖をストレートに味わえる作品でした。

☆☆☆

鑑賞日:2026/02/21 イオンシネマ座間

監督ヨハネス・ロバーツ 
脚本ヨハネス・ロバーツ 
アーネスト・リアラ 
出演トロイ・コッツァー 
ジョニー・セコイヤ 
ギア・ハンター 
ビクトリア・ワイアント 
ベンジャミン・チェン 
チャーリー・マン 
ティエン・シモン 
ジェシカ・アレクサンダー 
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