映画【サイレントナイト(2022)】感想(ネタバレ):台詞なき一年の復讐

Silent Night (2023)
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●こんなお話

 ギャングの抗争で息子が殺されたので復讐しようとする話。

●感想

 クリスマス・イブの夜、電気技師として働くブライアン・ゴッドロックが、自宅前で幼い息子テイラーと過ごしている最中、ギャング同士の銃撃戦に遭遇するところから始まる。逃走する車両を追いかけたブライアンは流れ弾を受け、同時にテイラーも撃たれて命を落とす。ブライアンは重傷を負いながらも一命を取り留めるが、喉を撃たれたことで声帯を損傷し、発声能力を完全に失う。警察の捜査は進展せず、事件を起こしたギャングのリーダーがプラヤと呼ばれる人物であることだけが判明する。

 それから一年後、次のクリスマス・イブを期限と定め、ブライアンは復讐を決意する。自宅を拠点に、筋力トレーニングや格闘技の研究、銃器の扱い、運転技術の習得を独学で重ね、日々肉体を作り変えていく。同時に街に出てはギャングの行動範囲や構成員の情報を集め、単独での襲撃計画を練り上げていく。その過程で家庭は崩壊し、妻サヤとは別居状態となり、ブライアンは完全に孤立した存在となっていく。

 決行の時期が近づくと、ブライアンは街中でプラヤの配下を一人ずつ追い詰め、銃撃戦や接近戦の末に排除していく。ギャング側も異変に気づき、報復としてブライアンの自宅を襲撃するが、彼はこれを撃退する。その後、ブライアンはギャングの拠点を突き止め、単身で内部に侵入し、多数の構成員と戦闘を繰り広げる。

 最終局面でブライアンはプラヤと直接対峙し、激しい銃撃と肉弾戦の末にプラヤを殺害する。ブライアン自身も致命傷を負い、その場に倒れ込む中で、成長し大学を卒業するテイラーの幻を見る。物語の最後には、ブライアンが残した妻への手紙が読み上げられ、静かにおしまい。


 冒頭からギャングの激しいカーチェイスが描かれ、主人公が衝動的に追跡していく展開は非常に勢いがあり、強い引き込み力がありました。その後、ほぼ台詞なしで物語が進行していく構成は珍しく、ジョン・ウー監督の挑戦的な姿勢が強く感じられます。観客に状況や心情を説明せず、映像と行動だけで積み上げていく手法は興味深かったです。

 クライマックスの敵アジトでの銃撃戦では、階段を上がりながら戦う長回しの演出が印象的で、空間の使い方とアクションの連続性に見応えがありました。また、終盤で刑事と一時的に共闘する展開も、言葉を交わさずに成立する関係性として描かれており、無言映画的な面白さがありました。

 一方で、テレビ映像などを参考にしながら格闘術を身につけていく描写には、さすがに映画的な誇張を感じてしまい、思わず力の入りすぎを感じる場面もありました。防弾チョッキの性能に助けられながら何度も立ち上がる主人公の姿は、アクション映画としての快感を優先した演出として楽しめましたが、現実感は控えめです。

 全体として、100分という上映時間でもやや長く感じる部分はありましたが、台詞を排した復讐劇という一点突破のコンセプトは明確で、ジョン・ウー作品らしい様式美を再確認できる一本だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2026/02/03 WOWOW

監督ジョン・ウー 
脚本ロバート・リン 
出演ジョエル・キナマン 
スコット・メスカディ 
ハロルド・トレス 
カタリーナ・サンディノ・モレノ 
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