●こんなお話
学校で自殺が発生してある最期の声を録音しようとしている学生とその家族が関係していることがわかってくる話。
●感想
夏休み、臨時教師として補習クラスを担当することになった君島ほのかは、三浦瞳や前川タケルをはじめとした五人の生徒と向き合う。静かな夏の補習が続くかに見えたが、ある日クラスメイトの小日向まりが屋上から転落し、突然の死を迎える。事故として処理されるには不自然な点が多く、生徒たちだけでなくほのかもどこか腑に落ちないまま日々が過ぎていく。
調べを進めるうち、数十年前にも同じ校舎で転落死が起きており、犠牲者は瞳やタケルの母親世代に当たる人物だったことが明らかになる。当時の学校では“いないはずの生徒”として語られた高谷さなという少女の名が残されており、その名が現在のクラスにも“あのコ”として現れているという噂がささやかれ始める。
ほのかたちがさなの過去を追うと、彼女はかつて“最後の声”や“最後の音”を録音することに異様な執着を見せていた事実が浮かび上がる。転落した仲間の叫び、自身が味わった恐怖の瞬間、そして死の間際に残された音。それらを集める行為にのめり込み、やがて彼女自身も不可解な死を遂げたという記録が残っていた。現在起きている怪異は、その“音”を求めるさなの執念が今も続いているからだと噂される。
補習クラスの生徒たちは次々と怪異に巻き込まれ、現実と幻覚の境界がゆらぎ始める。ほのかも日常が少しずつ崩されていく感覚を抱え、誰が本当に生きているのか、誰が“あのコ”なのか判然としなくなる。さなの録音データ、残された記憶、生徒同士のつながりが複雑に絡み合い、夏の教室は静かな恐怖に覆われていく。
やがてほのかはさなの家を訪ね、怪異の源へ向かう決心を固める。積み重ねられていたテープの音に向き合い、彼女自身が“最期の音”を録り直すことで呪いを止めようとする。現実と夢が入り混じる中で出口を探し、すべてが収束したかに思える瞬間が訪れるが、気づけば自身がすでにこの世の者ではない可能性がふと浮かび上がり、物語はおしまい。
序盤から漂う不穏な空気が効果的で、特に恐怖を狙った場面はしっかり工夫されており、クレーンゲームの人形が異様な存在感を放つ場面などは印象に残りました。何度も繰り返される怪異のリズムにはシリーズとしての面白さがあり、過去作を思わせる構造が積み重ねられているところに懐かしさのような感覚もあります。一方で既視感と紙一重のつくりでもあり、新鮮さより馴染みの感覚が前面に出る瞬間も感じました。
物語の真相が段階的に明らかになる展開に大きな驚きがあるというより、夢なのか現実なのかが曖昧なまま混ざり合っていく作りが後半になるにつれて強まり、その複雑さがやや気持ちの置き場を難しくするところもありました。とはいえ、怖い一家が迫ってくる描写などは演出が冴えており、プリクラに家族が一人ずつ写り込む場面は緊張感のある良いアイデアだったと思います。
全体としては、シリーズ的な手触りと夏の学校という舞台が重なり、じわじわと迫る恐怖に包まれた一本として楽しめる作品だと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2025/12/10 Amazonプライム・ビデオ
| 監督 | 清水崇 |
|---|---|
| 脚本 | 角田ルミ |
| 清水崇 | |
| 原案 | 角田ルミ |
| 清水崇 |
| 出演 | 渋谷凪咲 |
|---|---|
| 早瀬憩 | |
| 山時聡真 | |
| 荒木飛羽 | |
| 今森茉耶 | |
| 蒼井旬 | |
| 穂紫朋子 | |
| 今井あずさ | |
| 小原正子 | |
| 伊藤麻実子 | |
| たくませいこ | |
| 山川真里果 | |
| 松尾諭 | |
| マキタスポーツ | |
| 染谷将太 |

