映画【28年後…】感想(ネタバレ): 疾走する恐怖と静かな死の記憶——新たなゾンビ映画のビジュアル体験

28 Years Later
スポンサーリンク

●こんなお話

 イギリス本土から離れた孤島で暮らしてた親子が通過儀礼のために本土に渡ってサバイブしたり病気の母親のために本土にいる医者に見せに行ったりする話。

●感想

 子どもたちがテレビを見ているけど全くエンジョイしていない表情。外から大人たちの騒ぎが聞こえてきて扉の外の様子を窺ってたら感染者が襲ってきて子どもたち襲われる。1人の少年が逃げるけど目の前で母親が噛まれて、教会にいる父親のもとへ逃げるけど。父親は「ジャッジメントデイだ!」と叫んで十字架を手渡して感染者に身を捧げる。少年は物陰に隠れる。

 28年後、イギリスは隔離されて欧州各国の軍艦が警備をしている。島で母親は病気のために苦しんでいる中、父親と主人公の少年が通過儀礼として引き潮のあいだだけ現れる道をたどって本土へ。

 本土でスローローという太った感染者を弓矢で射抜いたり、家に行ったらつるされた感染者がいてそれにとどめを刺すのに手間取ったり。移動してたらアルファと呼ばれる進化した感染者に襲われて父子で弓矢で迎撃しつつ逃走。主人公は焦って弓矢が上手く扱えない。古い民家の屋根裏に避難して、自分のふがいなさを語る主人公だけど父親はかばう。遠くで何かが燃えていて父親は「何も知らない」と語る。

 引き潮の中、道をダッシュするけどアルファがギリギリのところまで追いかけてきて何とか村までたどり着いて、村人たちは主人公の通過儀礼のお祝いをしている。そんなときに父親の浮気現場を目撃してショック。

 帰宅した父親に対して怒りをぶつけて父親も殴ったりして怒りを抑えられない。主人公はボヤ騒ぎを起こして監視の目を別に向けているときに母親と道を渡って本土へ。寝ているときにスローローが襲ってきて母親がスローローをぶん殴って退治したり。

 ところかわって感染者から逃れる軍人たちがいて、1人また1人とやられてアルファとかに襲われたりして1人だけ逃げるのが描かれたり。

 主人公と母親は感染者に追いかけられてガスステーションに逃げるけど、室内はガスで充満して息苦しい。そこに軍人が現れて主人公たちを救出。軍人はスウェーデン軍の兵士で船が漂流してたどり着いたことが語られる。医者に母親を見せるということで3人で移動するけど、叫び声を聞いた母親が廃列車の中で出産が間近の感染者がいて、出産に立ち会う。スウェーデン軍兵士は赤ちゃんを殺害するように強制するけど、そこにアルファが現れてピンチ。そこに医者が麻酔でアルファを眠らせる。

 医者の隠れ家に行ってしゃれこうべのタワーが出来上がっていたり、ラテン語の「メメントモリ」について語ったりして、母親を診察して癌だという診断を下して治療できないという。すべてを受け入れる母親と信じたくない主人公。医者は母親に対して…。という。

 主人公は村に赤ちゃんを預けて1人本土でサバイブする道を選択して過ごしているけど感染者に襲われてそこに十字架を持った男性をリーダーにした集団が助っ人として参戦して自己紹介しておしまい。

 とにかくダニー・ボイルらしい、ビジュアル的な暴力性が全開でした。疾走する感染者の怖さは健在で、特にiPhoneなどを用いたカメラワークで、視覚的に“脅かす”という演出が際立っていました。弓矢が感染者にあたったときのショック表現とかあまり見たことないものでよかったです。

 また、何気ない日常が一瞬で地獄に変わるという切り替えの速さは、初作『28日後…』を思い出させてくれて懐かしさもあったり。

 「死と記憶」をめぐる描写も印象的で、ドクター・ケルソンのもとで骸骨の山など、静かで冷たい演出が続き、ただのホラーにとどまらない人間ドラマの香りも感じました。

 ただ、やはり前作『28週後…』や初代『28日後…』と比べてしまうと、キャラクターにあまり感情移入できないのが残念でした。特に主人公が最後に心の動きが台詞で説明されるだけで、説得力に欠けた部分も多く、展開がやや唐突に感じました。通過儀礼のあとにめちゃ強くなっているのとかも仕方ないとはいえ急すぎる成長に思えたり。

 また、中世の戦争や回想などを挿入する演出は、意味深で雰囲気は出ていましたが、正直やや説明不足で、象徴表現が上滑りしている印象もありました。人類はずっと暴力の歴史があるとかそういうことなのかなと考えたり。

 前作・前々作の熱狂的なファンだとちょっと物足りないかもしれませんが、ダニー・ボイル監督のスピード感と不安定なカメラワークはさすがで、今のゾンビ映画としては十分に緊張感のある作品だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2025/06/22 イオンシネマ座間

監督ダニー・ボイル 
脚本アレックス・ガーランド 
エグゼクティブプロデューサーキリアン・マーフィー 
出演アーロン・テイラー=ジョンソン 
レイフ・ファインズ 
ジョディ・カマー 
アルフィー・ウィリアムズ 
ジャック・オコンネル 
タイトルとURLをコピーしました