●こんなお話
大学生が回天搭乗員になって潜水艦で出陣を待機したり訓練自体を思い出したりする話。
●感想
日本軍の潜水艦が米軍の駆逐艦による爆雷攻撃をなんとかかわすところから始まる。緊迫した状況の中、主人公を含む回天の搭乗員たちが乗っていて、無音潜航で酸素が薄くなる極限状態。そこから時間はさかのぼり、大学生時代の回想に入る。
主人公は元甲子園のエース投手で、仲間たちや陸上選手としてのライバル的な男性、そして両想いの女性と出会い、家族との穏やかな日常を送っていた。恋人とのデートでは一緒に歌を歌い、家まで送り届けたりが描かれていく。
やがて学徒出陣の波が彼らを襲い、主人公も戦場へ。新兵器として紹介されたのは人間魚雷「回天」。希望者は自己申告という形式で、主人公は丸をつけて志願する。訓練が始まり、想像以上に難しい操縦方法に皆が苦戦。主人公もミスをして上官に殴られ、「一度でできるか」と怒りをあらわにする。
戦友の中には、回天が故障して出撃できずに落ち込む者、逆に出撃が決まった者もいるけど回天の故障で出撃できなかったり。ライバルに「回天が壊れたから代わってくれ」と頼まれる主人公。いよいよ自分も出撃という段になって、機体トラブルで出撃失敗に終わる。
その後、いったん帰還して訓練を続けるが、台風の影響で回天が海底に突っ込んでしまう。気づけば終戦となり、主人公の遺書が発見されたところで物語はおしまい。
「回天」というモチーフが非常に興味深く、特にその操縦方法や訓練内容など、実用的な描写が多くて勉強になりました。実際に回天が壊れて出撃できないという展開の連続は現実味もあり、印象的でした。
ただ、潜水艦の中での主人公の独り言が多く、緊迫感というよりはやや不自然に感じられる場面も。恋人や仲間との交流も、何度も同じように歌う場面が続き、やや冗長に感じられた部分もありました。
とはいえ、戦争映画でありがちな高揚感やヒロイズムは一切なく、淡々と訓練の末に終戦を迎え、命を賭けた若者の奮闘が報われないまま終わるという構成は、明確に戦争を否定するメッセージとして強く印象に残りました。
☆☆☆
鑑賞日:2025/06/12 DVD
| 監督 | 佐々部清 |
|---|---|
| 脚本 | 山田洋次 |
| 冨川元文 | |
| 原作 | 横山秀夫 |
| 出演 | 市川海老蔵 |
|---|---|
| 伊勢谷友介 | |
| 上野樹里 | |
| 塩谷瞬 | |
| 柏原収史 | |
| 伊崎充則 | |
| 尾高杏奈 | |
| 黒田勇樹 | |
| 平山広行 | |
| 桐谷健太 | |
| 嶋尾康史 | |
| 竹嶋康成 | |
| 田村三郎 | |
| 永島敏行 | |
| 田中実 | |
| 高橋和也 | |
| 平泉成 | |
| 香川照之 | |
| 古手川祐子 | |
| 三浦友和 |


