●こんなお話
ゴッサムシティで夜な夜な暴れるバットマンの話。
●感想
ゴッサムシティは犯罪がはびこる危険な都市。ある日、強盗犯たちがバットマンによって制圧されます。一方、ジャックという犯罪者が登場し、彼は警察と癒着しながら暗躍していました。新聞記者の女性がバットマンの正体を追う中、警察幹部と共に富豪ブルース・ウェインの屋敷で開催されたパーティーに出席。そこでブルースと出会い、やがて惹かれ合っていきます。
その後、ジャックは警察との対立の中で、バットマンとの戦闘に巻き込まれ、酸のプールに落下。一命は取りとめたものの、その代償に外見が激変し、「ジョーカー」として生まれ変わります。彼はマフィアのボスを殺害し、新たな支配者として他の幹部を次々に粛清。さらに化粧品に毒を仕込んで市民を恐怖に陥れたり、大金をばら撒いて群衆に毒ガスをまいたりと、狂気的なテロ活動を展開していきます。
バットマン=ブルース・ウェインであることを、ヒロインが気づくきっかけとなるのは、ジョーカーが記者宅に現れた際の出来事。バットマンは銃撃されるものの実際には無傷で、その様子を見たヒロインが正体を見抜きます。また、ブルース自身も、自分の両親を殺害したのがジョーカーだったことを思い出します。
ジョーカーにさらわれたヒロインを救うべく、バットマンはついに決戦へ。屋上での対決の末、ジョーカーは逃亡を図るものの、落下して命を落とします。街は救われ、市民たちは「バットシグナル」を使ってバットマンに連絡するという、新たな共存の形が描かれておしまい。
本作のタイトルは『バットマン』ですが、物語の中心を動かしていたのは明らかにジョーカーです。彼が現れるたびに展開が動き、主人公と言える存在でした。特に1幕目では、彼がジョーカーになる過程をじっくりと描写。酸の中に落ちて顔が変わり、狂気に染まっていく様子は印象的でした。
ただし、ジョーカーの動機は描かれず、その狂気に理由がないことが逆に恐怖を増幅させます。また、バットマン自身も「正義のため」ではなく、欲望や衝動によって行動しているかのような描写があり、彼の人間性にも一種の不気味さを感じさせました。バットマン・ジョーカー・ヒロインの三角関係もこの物語を興味深くしています。
アクションシーンの迫力やクライマックスの演出にはやや物足りなさを感じましたし、127分という上映時間は少々長く感じる部分もありました。特に終盤のテンポや編集にはやる気のなさが目立ち、盛り上がりに欠けた印象も。
それでも、暗く重たい画面の中で、ジョーカーのテンション高い芝居が際立っており、バットマンの得体の知れない存在感とあわせて、不思議な魅力を持った作品となっていました。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2013/08/23 Hulu 2024/11/06 U-NEXT
監督 | ティム・バートン |
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脚本 | サム・ハム |
ウォーレン・スカーレン | |
原案 | サム・ハム |
出演 | マイケル・キートン |
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ジャック・ニコルソン | |
キム・ベイシンガー | |
ロバート・ウール | |
パット・ヒングル | |
ビリー・ディー・ウィリアムス | |
マイケル・ガウ |
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