●こんなお話
フィンランド最強兵士が金塊を手に入れてナチスの残党と戦う話。
●感想
1944年、第二次世界大戦末期のフィンランド。荒れ果てた戦場の中、1人の男が金塊を見つけるところから物語は始まる。無言で地面を掘り、輝く金を見つけた彼は、静かに喜び、それを運び始める。しかしその道中でナチス・ドイツの部隊と遭遇し、金塊の存在がバレてしまう。そこから男とナチス部隊の壮絶な追走劇が幕を開ける。
ナチス側のリーダーはすでに敗戦が濃厚な中で、金塊を生き残るための切り札と考えており、金を奪うことに執着している。男は埋められた地雷原を強行突破し、追いかけてくるナチスに対して地雷を投げ返したり、地雷原を強引に走らせて爆死させたりと、想像を超えるゲリラ的戦術で応戦する。
さらには、追ってきた軍用犬から逃れるために、自ら火を放って炎に包まれながらも疾走するなど、常軌を逸した生存能力を見せつける。ナチスが彼の認識票から素性を調べると、その正体は「フィンランド軍が手に負えず野に放った、数百人のロシア兵を単独で葬った伝説の兵士」だったことが判明。ようやく捕らえて首吊りに成功したかに見えたが、当然のように生き延び、逆にナチスのパイロットを殺して脱出する。
ナチスに囚われていた女性たちを味方につけ、男は復讐の手を緩めない。彼女たちと共に、残りのナチス部隊を一人残らず殲滅していく。
クライマックスでは、逃げようとするナチスのリーダーが飛行機に乗り込み、ついに逃げ切れたと思いきや、飛行機の中にはすでに男が潜んでいて、機内で肉弾戦を展開。最後はリーダーを爆弾に縛り付けて空中から落とし、飛行機もろとも墜落。男は泥の沼からよみがえり、無言で銀行に赴き、金塊を紙幣に換えて物語はおしまい。
台詞が少なく、静かで緊張感のある導入から、次第に壮絶なアクションへと加速していく展開はジャンル映画として非常に満足度が高かったです。地雷を投げる、火だるまになって走る、飛行機から落下する、といった他ではなかなか見られない斬新なアクションが次々と登場し、常に目を奪われました。
敵であるナチス側も決して無能ではなく、むしろリーダーを中心に敵役としてきちんと描かれているのも面白いポイント。単なる悪役ではなく、それぞれのキャラクターにしっかり動機があるので、対決がよりスリリングに感じられます。
とにかく、つるはし1本でナチスに立ち向かう主人公の姿がとにかく怖くて強い。武器というより執念の象徴のような存在感で、何度も絶望的な状況を切り開いていきます。
アクション、サバイバル、そして戦争映画として、見せ場たっぷりで非常に満足度の高い1本でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2024/04/03 Amazonプライム・ビデオ
監督 | ヤルマリ・ヘランダー |
---|---|
脚本 | ヤルマリ・ヘランダー |
出演 | ヨルマ・トンミラ |
---|---|
アクセル・ヘニー | |
ジャック・ドゥーラン | |
ミモサ・ヴィッラモ | |
オンニ・トンミラ |