映画【ナポレオン(2023)】感想(ネタバレ):歴史の巨人の激動の人生と、淡白な描写のギャップ

NAPOLEON
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●こんなお話

 フランス革命後に一回の軍人が将軍になって皇帝になっていくナポレオンと奥さんの話。

●感想

 物語は、フランス革命のクライマックスであるマリー・アントワネットの処刑から始まる。その場にいた主人公ナポレオンが、その後いかにして歴史の中心人物となっていくのかが描かれています。

 イギリスが占拠している港の奪還を命じられたナポレオンは、夜間攻撃を敢行し、自らも最前線で白兵戦を展開。イギリス艦隊に大砲を撃ち込み、見事に勝利を収める。これをきっかけに出世していくナポレオンの元に、亡き父の剣を返してほしいという少年が現れる。その願いを聞き入れたナポレオンは少年の家を訪れ、そこで母親である未亡人ジョセフィーヌと出会う。すぐに親密な関係になり、カフェでの語らいを重ねて結婚へと至る。

 その後、エジプト遠征などを行う中で、ナポレオンはジョセフィーヌに頻繁に手紙を送るが、部下から不倫の情報を聞かされ、急きょ帰国。報道でも寝取られ将軍のように揶揄される。しかし、結局ジョセフィーヌとは元通りの関係に戻る。共和制政府の腐敗を見て取り、ナポレオンはクーデターを起こして自ら皇帝に即位。

 戦争はロシアとの戦いへと進み、アウステルリッツでは勝利するものの、モスクワでは市民が去り、街は焼け野原。兵を大量に失い、追放される。その後、脱出して兵を集めワーテルローの戦いに挑むが、往年の力はなく敗北。セントヘレナ島へ流され、そこで人生を終える。

 ナポレオンが軍人から皇帝に上り詰め、転落するまでの流れが描かれていますが、160分という長さでありながらダイジェストのようなテンポで物語が進んでいくため、歴史的な背景や人物の心情が理解しづらかったです。特にジョセフィーヌとの関係に関しては、ナポレオンがなぜ惹かれたのか、深く掘り下げられておらず、感情移入が難しかったです。

 スペクタクルな戦闘シーンは豊富で、人体が吹き飛ぶなどのリアルな描写には目を引かれましたが、戦局の流れや勝敗の理由が曖昧で、観ていてカタルシスを得るには至らなかったです。歴史劇としての重厚感はあるものの、ナポレオンという人物や彼の愛の物語を本格的に描くには時間も構成も物足りなく感じる一作です。

☆☆

鑑賞日:2023/12/02 イオンシネマ座間

監督リドリー・スコット 
脚本デヴィッド・スカルパ 
出演ホアキン・フェニックス 
ヴァネッサ・カービー 
ベン・マイルズ 
タハール・ラヒム 
リュディヴィーヌ・サニエ 
ジョン・ホリングワース 
マシュー・ニーダム 
ポール・リース 
イアン・マクニース 
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