●こんなお話
殺人鬼のマイケル・マイヤーズが失踪してみんな事件の事を忘れようとするけれど、青年がマイケルと出会って変容を遂げていく話。
●感想
マイケル・マイヤーズが依然として行方不明のままという緊張感の残るハドンフィールドの町で、ベビーシッターをしていた青年が起こした悲劇から物語は始まり。青年は、預かっていた子どもにいたずらで部屋に閉じ込められ、慌てて扉をこじ開けようとした瞬間、誤って子どもが階段から落下してしまい、死亡。その事件で青年は「子ども殺し」として世間から非難を浴びることに。
数年後、彼は町で廃品業者として働いているが、過去の事件の印象が強く残っており、街を歩くだけでも冷たい視線を浴び、さらには若者グループから暴行を受けるような日々を送っている。そんな彼に対して、ローリィの孫娘が惹かれていき、二人の距離は急速に縮まっていく。
けれど、青年は再び若者たちに襲われ、今度は瀕死の重傷を負ってしまう。倒れた彼は、偶然にも町の地下に隠れていたマイケル・マイヤーズに引きずり込まれる。殺されかけながらも、なぜか生き延び、そこから彼はマイケルのマスクを奪い、自らも“マイケル化”していくようになる。
やがて彼は、孫娘の職場の嫌な上司や同僚を次々と手にかけていく。ローリィは青年の目の奥に、かつてのマイケルと同じ“闇”を見て、孫娘に「彼と距離を置くべきだ」と忠告するが、孫娘はそれを聞き入れず、祖母と大げんかに。青年と一緒に町を出ようとするような展開にまで発展する。
青年は、かつて自分をいじめていた若者グループにも報復を始め、次々と殺していく。ローリィは、自分が過去にマイケルを挑発したことで周囲の人間を巻き込んでしまったという自責の念に苛まれていて、自ら命を絶とうとしているかのような演出で観客を惑わせる。けれど実はそれは演技で、家に侵入してきた青年を誘き寄せ、銃で撃って追い詰める。
青年は最終的に自殺を選び、そこへ駆けつけた孫娘はローリィが青年を殺したと勘違いして、絶望して去っていく。
だが、ここで本物のマイケル・マイヤーズが登場。ローリィとマイケルの長年にわたる因縁の一騎打ちが始まり、壮絶な戦いの末にローリィがマイケルを包丁で刺し、ついに打ち倒す。警察もその死を確認し、今回は徹底的に終わらせようと、遺体を廃品業者の大型機械にかけて完全に破壊して物語はおしまい。
マイケルによる人体破壊や殺人シーンがメインの見せ場であることを期待して鑑賞すると、今作はだいぶ方向性が異なっており、そのギャップに戸惑いを覚えてしまいました。過去のシリーズとの差別化を図ろうとする意図は伝わるが、スラッシャームービーとしての魅力を期待すると、別物と感じてしまうものでした。
特に、ローリィの孫娘が、いじめられていた青年に突然惹かれて積極的にアプローチしていく展開や、青年がマイケルと出会ったことで一気に凶暴になっていく過程は、やや急で唐突さが否めない感じでした。ラブストーリーとしても、ホラーとしてもバランスが難しく、見ていて感情移入しづらい部分があったり。
そして、長年シリーズを追いかけてきた人にとって、主人公ローリィとマイケルのラストバトルが、家庭内での“おばあちゃん vs 青年”のような構図で進むことや、マイケルを潰してシリーズ完結…という流れには、少し寂しさが残る内容で。シリーズ最終作としては、ややパンチの弱い締めくくりだった印象を受けてしまう1作でした。
☆☆
鑑賞日:2023/04/16 イオンシネマ座間
監督 | デヴィッド・ゴードン・グリーン |
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脚本 | デヴィッド・ゴードン・グリーン |
ポール・ブラッド・ローガン | |
クリス・ベルニエ | |
ダニー・マクブライド |
出演 | ジェイミー・リー・カーティス |
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アンディ・マティチャック | |
カイル・リチャーズ | |
ウィル・パットン | |
ローハン・キャンベル | |
ジェームズ・ジュード・コートニー |