映画【NOPE ノープ】感想(ネタバレ):UFOと牧場を巡るSFホラー

NOPE
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●こんなお話

 映画撮影所用の馬とかを飼育している牧場でUFO的なものが空にいるぞと撮影しようとする話。

詳細ネタバレあらすじ

 カリフォルニア州アグア・ダルシーで、オーティス・ヘイウッド・シニアは映画やテレビの撮影に使われる馬を調教する牧場を経営している。息子のオーティス・ジュニア、通称OJも父親と一緒に牧場で働いている。ある日、牧場の上空から金属片が落下し、その一つがオーティス・シニアに当たる。オーティス・シニアは病院へ運ばれるが死亡する。

 6か月後、OJは妹のエメラルドとともに牧場を経営している。ヘイウッド家は映画史上初期の映像に登場する黒人騎手を先祖に持ち、代々、馬を扱う仕事を続けてきた。エメラルドは撮影現場で、ヘイウッド家が映画の歴史と長く関わってきたことを説明する。

 OJとエメラルドは、撮影現場へ馬のラッキーを連れていく。しかし、ラッキーは撮影用の反射板に反応して暴れ、撮影が中止になる。ヘイウッド兄妹は撮影現場から外される。

 牧場の経営が厳しくなったため、OJは馬を売ることにする。兄妹は近隣にある西部劇をテーマにしたテーマパーク「ジュピターズ・クレイム」の経営者リッキー・“ジュープ”・パークのもとを訪れる。ジュープは元子役で、現在は妻や子どもたちとテーマパークを経営している。OJはこれまでもジュープに馬を売っており、今回も馬を売るために訪れる。

 ジュープには子役時代に出演したテレビ番組「ゴーディーズ・ホーム」がある。1998年、番組の撮影中にチンパンジーのゴーディが暴れ出す。風船が割れたことをきっかけにゴーディが出演者やスタッフを襲い、ジュープはテーブルの下に隠れる。ゴーディは複数の人間を襲った後、ジュープの前まで来る。ジュープがゴーディと拳を合わせようとした直後、ゴーディは銃で撃たれる。

 現在のジュープは、当時の事件に関係する品物をテーマパークの施設内に保管している。ジュープはゴーディの事件で使用されたセットや物品を展示し、過去の出来事をテーマパークの一部として扱っている。

 その後、牧場で電気が突然消え、馬たちも上空に何かがあるように反応する。OJが周囲を確認すると、雲の近くを正体不明の飛行物体が移動している。飛行物体が現れると電気が停止し、牧場にいた馬が一頭ずつ姿を消していく。

 OJとエメラルドは、この飛行物体を撮影して映像を手に入れようとする。二人は家電販売店で働くエンジェル・トーレスに監視カメラの設置を依頼する。エンジェルは牧場にカメラを設置し、飛行物体の出現を監視する。

 飛行物体は牧場の上空に現れ、馬を連れ去る。また、エメラルドがジュピターズ・クレイムから持ち出した馬の置物にも反応する。エンジェルが監視映像を確認すると、牧場の上空にある雲が長時間ほとんど動いていないことが分かる。OJは、その雲の近くに飛行物体がいると判断する。

 エメラルドは撮影監督のアントラーズ・ホルストに協力を依頼する。ホルストは牧場で飛行物体を撮影する計画に加わる。飛行物体が近づくと電気機器が使えなくなるため、通常の電子カメラでは撮影が難しい。ホルストは手回し式のフィルムカメラを用意する。

 一方、ジュープも飛行物体の存在を把握している。ジュープはOJから買った馬を飛行物体へ与え、その存在を利用したショーを企画する。ジュープは「スター・ラッソ・エクスペリエンス」というイベントを開催し、観客を集める。会場にはラッキーが透明な箱に入れられ、飛行物体を呼び寄せるために利用される。

 イベントが始まると飛行物体が現れ、会場の上空へ移動する。飛行物体はジュープ、妻、子どもたち、スタッフ、観客をまとめて吸い上げる。ラッキーは箱の中に残される。 

 OJはラッキーを助けるため、ジュピターズ・クレイムへ向かう。ラッキーを連れて牧場へ戻った後、飛行物体はヘイウッド家の牧場へ現れる。飛行物体が上空に現れた後、牧場の家に大量の物が落下する。人間の身体の一部や衣服などが屋根を突き破って落ちてくる。

 OJは飛行物体の動きを観察する。飛行物体は単純な宇宙船ではなく、動物のように行動していて、人間や動物を捕食し、空中を移動している。さらに、飛行物体を直接見続けると襲われることが分かる。OJは、馬を調教するときと同じように、飛行物体を正面から刺激しないことが重要だと判断する。

 OJは飛行物体を、妹のエメラルドがかつて調教する予定だった馬の名前から「Gジャン」と呼ぶことにする。OJ、エメラルド、エンジェル、ホルストは、Gジャンを撮影する準備を進める。

 牧場には、電動で動くチューブ状の人形が並べられる。ジャン・ジャケットが近づくと電気が停止するため、人形が止まった場所からGジャンの位置を確認できる。

 そこへTMZの記者ライダーが現れる。ライダーはGジャンの映像を撮影しようとして牧場へ入り、電動バイクで移動する。しかし、Gジャンが近づいたことでバイクが停止し、ライダーは転倒する。OJはライダーを助けようとするが、ライダーはGジャンを撮影しようとする。その後、Gジャンが現れ、ライダーは吸い上げられる。

 ホルストは手回し式カメラを使ってGジャンの撮影を続ける。しかし、より近い距離から撮影するため、Gジャンへ近づいていく。ホルストはカメラを持ったままGジャンに吸い上げられる。

 エンジェルもGジャン・ジャケットに襲われるが、エンジェルは牧場に置かれていた防水シートや有刺鉄線に絡まり、Gジャンに吸い上げられるが、有刺鉄線が身体に絡まったことでGジャンから吐き出される。

 その後、Gジャンはこれまでの円盤状の形から姿を変える。身体を大きく広げ、中央に開口部を持つ巨大な形へ変化する。

 エメラルドはGジャンから逃げるため、ライダーが残したバイクに乗ってジュピターズ・クレイムへ向かう。OJはラッキーに乗り、Gジャンの注意を自分へ向ける。

 エメラルドはジュピターズ・クレイムに到着すると、施設に設置されていた巨大なジュープの風船を利用する。風船を固定していたロープを外し、空中へ浮かせる。

 Gジャンが巨大な風船に近づくと、エメラルドはジュピターズ・クレイムに設置された手動式のカメラを使って撮影する。Gジャンは風船を取り込み、風船が内部で破裂し、Gジャンの身体は大きく膨らみ、その後破裂。

 Gジャンが消えた後、エメラルドは撮影した写真を確認する。報道関係者がジュピターズ・クレイムに集まる。エメラルドが振り返ると、霧の中からOJがラッキーに乗って現れる。OJとラッキーは生存しているように映されておしまい。

●感想

撮影スタジオでチンパンジーが暴れ、セットが壊された状態から始まり、最初から不穏な空気がありました。その後、場面が牧場に変わり、父親のオーティス・シニアとOJが話しているところで電気が落ち、不思議な音が周囲に響きます。父親は突然重傷を負い、OJが車で病院へ運びますが、そのまま亡くなってしまいます。

 時間が経過すると、OJは父親から引き継いだ牧場で映画撮影用の馬を扱っています。ただ、撮影現場での仕事はうまく進みません。妹のエメラルドが遅れて撮影現場にやって来て、スタッフとキャストの間に入りますが、馬が暴れて撮影は中止になります。 

 牧場の経営も厳しくなり、OJは馬を売って当面の資金を作ろうとします。そこで訪ねるのが、近くでテーマパークを経営するジュープです。ジュープは子役時代にテレビ番組で活動していた人物で、そこからチンパンジーのゴーディ事件へ話がつながっていきます。 

 上空に正体不明の飛行物体が現れてからは、兄妹がそれを撮影して映像を手に入れようとします。監視カメラを設置し、電気が止まるタイミングを確認し、撮影監督のアントラーズ・ホルストにも協力を依頼します。電子機器が使えなくなるため、最終的には手回し式のフィルムカメラを使って撮影するという展開に。

 一方、ジュープも飛行物体を利用してショーを開催します。ここでゴーディ事件の回想が再び出てきます。ジュープは子どものころにチンパンジーのゴーディが暴れた事件を経験しており、その事件に関係する品物を現在のテーマパークでも展示しています。ゴーディのエピソード自体はかなり長く描かれるので、現在の兄妹の話を早く見たいと思っていると、ここで一度流れが止まる感覚があります。

 飛行物体に馬を与えるジュープのショーも、かなり印象的な場面です。観客の前で飛行物体を登場させようとしますが、飛行物体はジュープたちの予想通りには動かず、会場にいた人間をまとめて吸い上げてしまいます。ここからジャン・ジャケットの存在が単なる空飛ぶ物体ではなく、生き物として描かれていきます。

 個人的には、ここからの映像はかなり面白かったです。OJが馬を駆け、広い牧場を走りながらGジャンを誘導する場面では、西部劇のような見せ方になっています。馬と広大な土地を組み合わせた画面は、この作品ならではの雰囲気がありました。

 Gジャンが人間を取り込んだ後、牧場に血や衣服などが降ってくる場面も印象に残ります。さらに終盤では、Gジャンが円盤状の姿から大きく形を変え、中央の開口部を広げた姿になります。このビジュアルはかなり奇妙で、個人的にはエヴァンゲリオンの使徒のような姿にも見えて、ここはニコニコしながら見ていました。

 エンジェルが防水シートや有刺鉄線に絡まりながらGジャンに吸い上げられ、それでも生き残る場面も面白かったです。最後には巨大な風船を使ってGジャンを誘導し、手動式のカメラで撮影します。このあたりは、電気が使えない相手に対して、昔ながらの機械を使って撮影するという展開になっていて、撮影そのものがクライマックスになっています。 

 ただ、全体的にはかなり退屈に感じました。

 父親を目の前で亡くしたOJが、牧場を引き継いで馬を扱いながら、経営を維持するために飛行物体を撮影して大きな映像を手に入れようとする流れは分かります。ただ、OJ自身の描写に加えて、撮影現場での馬の扱い、牧場の経営、ゴーディ事件、ジュープのテーマパーク、飛行物体の撮影と、複数の話が並行して進みます。そのため、私は本筋が進むまでにかなり時間がかかるように感じました。

 特に、飛行物体を撮影するためにカメラを設置し、電源が落ちると外へ出て確認し、またカメラを確認するという流れが何度も続くように感じました。Gジャンの正体が少しずつ分かっていく過程として必要な場面ではありますが、私には同じような作業を繰り返している時間が長く感じられました。

 ゴーディの回想もかなり長く感じました。チンパンジーが突然暴れ出し、スタジオを破壊していく場面そのものはかなり怖いです。特に、ジュープがテーブルの下に隠れている状態でゴーディと対面する場面は強く印象に残ります。ただ、その出来事が現在の物語とどうつながるのかを考えながら見る必要があるため、単純にUFOのような存在を追うモンスターパニックとして見ると、途中で長く感じてしまいました。ゴーディ事件の小道具や描写には多くの意味を読み取れる要素があると指摘されていますが、そこまで考察せずに見た私は、かなり時間を使った回想に感じました。

 ジュープが観客の前で飛行物体を呼び寄せる場面も、私は長く感じました。マイクを使って観客を盛り上げながらショーを進め、馬を用意して、空を見上げて、飛行物体が現れるのを待つ。この場面で何が起こるのかは分かるので、実際に飛行物体が現れてからの展開を早く見たい気持ちがありました。

 一方で、妹のエメラルドが電動バイクに乗っていて、Gジャンの影響で突然バイクが止まる場面は面白かったです。バイクから投げ出される動きも含めて、ここは「AKIRA」のバイク停止を思わせるような見せ方に感じました。 

 クライマックスでOJが馬を駆ける場面は、それまでの牧場の話とGジャンの話が一つにつながるところです。西部劇のような音楽と広い土地を使った画面もよく、ここはかなり盛り上がりました。馬を扱ってきたOJが、最後には馬に乗ってGジャンを誘導するという構成も分かりやすいです。

 ただ、そこへ至るまでの時間が長く感じられました。OJがカメラを確認し、電源が落ち、外へ出て、またカメラを確認する。そこにジュープの話やゴーディの回想が入ってくるので、終盤までの道のりがかなり遠く感じました。

 最後にエメラルドが手動式のカメラを使ってGジャンを撮影する場面も、最初は何を撮影しているのか分かりませんでした。井戸のような場所に設置されたカメラを使うので、普通のカメラ撮影とは違います。ここは作品の中で提示されてきた「どうすれば電気を使わずに撮影できるのか」という問題の答えになっているのですが、そこまで考えながら見ていなかったため、最後になって「何を撮影しているのだろう?」となりました。

 映像そのものには面白いところがかなりあります。血や衣服が空から降ってくる場面、Gジャンの巨大な姿、馬を使った追跡、電動バイクの停止、手回し式カメラによる撮影など、記憶に残る場面は多いです。

 ただ、私は映像の面白さよりも、そこへ到達するまでの長さが気になりました。映画について深く考察したり、過去の映画や撮影技術などの知識を持って見れば拾える要素が多い作品だと思いますが、そこまで読み込まずに見たため、終盤まで物語に入り込めない時間が続きました。

 Gジャンという生物そのものは面白かったので、個人的には兄妹が牧場で謎の生物と戦うモンスターパニックとして、もっと単純に楽しめる構成のほうが好みでした。

☆☆☆

鑑賞日:2022/09/05 109シネマズ川崎 2023/05/09 Amazonプライム・ビデオ 2026/09/23 U-NEXT

監督ジョーダン・ピール 
脚本ジョーダン・ピール 
出演ダニエル・カルーヤ 
キキ・パーマー 
スティーヴン・ユァン 
マイケル・ウィンコット 
ブランドン・ペレア 
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