映画【るろうに剣心 最終章 The Beginning】感想(ネタバレ)

●こんなお話

　長州藩の人斬りが幕府側の刺客たちと戦う話。

●感想

　幕末の京都で捕まっている主人公が絶対的ピンチの状況の中、口で刀を噛んで暴れて危機を突破していくツカミから凄くてまさに漫画的な展開が最高でした。

　長州藩の刺客として桂小五郎の命令に従って暴れまわる主人公。平和な世の中のために人を斬っているというお題目を心にする主人公。けれどもヒロインと視覚に襲われた場面に出会い一緒に住むことになる。そのヒロインから「世のため人のための殺しなんてあっていいのか」と至極まっとうな問いかけを言われてだんだん主人公がぐらついていく。そして一緒に生活していくうちに人間ぽくなっていく主人公、という描写とかもなかなか面白かったです。人前で寝ちゃうとか。

　見せ場のアクションシーンも【ヤングマスター】や【蛇拳】みたいな初期ジャッキー映画を日本映画で見られる面白さが詰まっていました。中盤の見せ場である池田屋事件も史実無視の大人数の切りあいになっていて斎藤一が左手一本で突くと何人も2階からぶっ飛ばされるというアクションとかもニコニコしながらみられました。ただあまりにもチャンチャンバラバラしている殺陣のため、刀がえらく軽く見えたりダンスを見ているかのような気持ちに次第になっていきました。

　クライマックスの幕府の刺客集団との戦いで刺客たちが命懸けで爆弾を使って主人公を追い詰めていくのとかも無敵の【座頭市】に工夫して挑むヤクザ集団のような戦いで面白かったです。

　ただ130分はちょっと長くて、特にクライマックスで刺客集団のボスが「徳川のため」「世のため」と延々とヒロインに語るのとかは長く感じました。むしろあなたたちは何者ですか?　という謎の集団でした。「〇〇もやられた。〇〇もやられた」と人命を挙げていましたが、誰が誰やらな集団でした。自分たちの大義名分を台詞で話すより、彼らの背景を少しでも描いてくれればクライマックスで命懸けで主人公を追い詰める行為にも熱くなれたと思います。

　とはいえ人を斬ってその相手の後妻さんに好意を抱くという新選組の松原忠治のエピソード的な展開を楽しく見ることができました。

☆☆☆

鑑賞日:2021/11/11　DVD