映画【新選組(1969)】感想(ネタバレ):新選組結成から崩壊までを描く

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●こんなお話

 新選組結成から近藤勇処刑までの話。

●感想

 幕末の動乱期、浪士の近藤勇は天然理心流の道場を構え、武士となることを夢見て仲間の土方歳三、沖田総司、井上源三郎、山南敬助らと共に京へ向かう。彼らは浪士組に加わるが組織はすぐに分裂し、芹沢鴨らと共に新選組を結成することとなる。

 新選組は幕府の命を受けて尊王攘夷派の志士たちを取り締まり、町の治安維持や探索にあたる。剣技の高さと厳格な規律で恐れられ、その存在感を次第に強めていく。しかし内部では芹沢の乱暴な振る舞いが問題となり、近藤は酒を断つように諭すが改善せず、やがて近藤や土方らの手により粛清される。近藤は局長、土方は副長となり、新選組は統率のもとで組織を固めていった。

 その後も彼らは池田屋事件などで尊攘派志士を討ち取り、名を轟かせる。若き天才剣士・沖田総司は剣の腕で活躍するが病に侵され、次第に力を失っていく。勘定方が金の横領を疑われて切腹を命じられる一件や、山南敬助が脱走して説得の末に切腹する場面など、組織を守るための冷酷な決断が続く。やがて時代は大きく変わり、徳川幕府の力は衰え、鳥羽・伏見の戦いで新選組は敗走。沖田はその戦いで力尽きる。近藤は軍を率いるも新政府軍に取り囲まれ、ついに投降。武士として丁重に扱われつつ斬首される。

 江戸から京都へ、そして新選組の結成から崩壊までを有名な出来事をなぞりながら描いていく本作は、重厚な時代劇に仕上がっていました。三船敏郎、小林桂樹、三國連太郎、田村高廣、北大路欣也といった俳優陣の迫力ある演技は圧巻で、画面に立つだけで時代の空気を感じさせてくれます。特に芹沢鴨との対立を丁寧に描いていた序盤は見ごたえがありました。

 ただ、その後は池田屋事件や伊東甲子太郎の加盟と脱退、鳥羽・伏見の戦いから甲陽鎮撫隊までがダイジェスト的に流れていき、ある程度の知識がないと理解しづらい部分も多かったように思います。一方で、沖田と医者一家との交流や近藤の娘への思いはじっくり描かれており、駆け足になりがちな展開の中で温かみを感じられる部分でもありました。

 土方歳三が局中法度を重んじ、冷徹な決断を下す姿は印象的でしたが、なぜそこまでの判断ができるのかという背景にはやや説明不足を感じました。金の横領疑惑をかけられた若い隊士が切腹を命じられ、10日間の猶予を待つという有名なエピソードはやるせなく、強い余韻を残します。池田屋事件の立ち回りは圧巻で、斬っても斬っても現れる敵の物量が凄まじく、時代劇アクションの醍醐味を堪能できました。

 ただし冒頭の生首やラストの斬首が突然ゴア描写として差し込まれ、観客を戸惑わせるような演出もあり、重厚な歴史ドラマの中で異彩を放っていました。全体的には新選組の歴史を網羅しながら俳優陣の熱演が楽しめる一本となっていたと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2021/05/15 BS日テレ 2025/09/30 U-NEXT

監督沢島忠 
脚本松浦健郎 
出演三船敏郎 
小林桂樹 
北大路欣也 
三國連太郎 
中村翫右衛門 
田村高廣 
中村賀津雄 
中村梅之助 
中村錦之助 
司葉子 
池内淳子 
星由里子 
野川由美子 
北川美佳 
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