映画【三国志 第一部・英雄たちの夜明け】感想(ネタバレ):劉備、関羽、張飛の誓いから始まる壮大な三国志の物語

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●こんなお話

 後漢朝末期の乱世で国を憂いていろんな人たちが天下統一を目指す話。

●感想

 黄巾族が暴れ回る混乱の中、若き劉備玄徳が関羽、張飛と出会い、桃園の誓いを交わす歴史的な瞬間が描かれます。曹操が権力を着実に握りつつある動きも映し出され、三国志の主要な出来事を丁寧に網羅した内容となっています。第一部だけで130分という長尺のアニメーションですが、そのスケール感と物語の重厚さは圧倒的で、大作としての風格を感じさせます。わかりやすさを重視しているため、三国志初心者でも楽しめる親しみやすい作品に仕上がっている印象です。

 物語は、義勇軍として黄巾の乱鎮圧に挑む劉備の奮闘から始まります。やがて曹操と出会い、董卓が帝の側近として権力を振るい始めるさまが描かれます。董卓征伐のため連合軍が結成されるものの、結局はまとまりを欠き解散してしまうさまもリアルに表現されています。その後は、豪傑・呂布が暴れ回り、敵対していた劉備のもとに身を寄せる展開へ。これが原因で曹操との対立も深まっていき、留守となった劉備の城を呂布が狙うなど、緊迫のパワーゲームが次々に展開していきます。声優陣も豪華で、迫力ある演技が画面に一層の重みを加え、声だけでも聴き応えがありました。

 個人的に印象深かったのは、曹操に反逆し呂布と共に行動する陳宮の姿です。彼が捕らえられた際に、命乞いせず堂々としている様子はとても格好良く、その堂々たる振る舞いに心惹かれました。曹操が狼狽え、主観的に動揺する演出も見応えがあり、その緊迫感が物語に深みをもたらしていました。また、張遼と関羽が武人として互いを認め合うシーンも見逃せません。彼らの真剣な眼差しと剣戟は、歴史の中で輝きを放つ名場面となっています。

 130分の間に数え切れないほどの戦闘と死が描かれており、中国の悠久の歴史の中で繰り返されてきた権力争いの厳しさと哀しみが胸に響いてきます。エンディングに流れる実写映像では、中国の雄大な自然や荘厳な建造物が映し出され、人間の営みの儚さと歴史の重みを一層感じさせる余韻を残します。

 ただし、大河ドラマとしての体裁を取っているため、登場人物が次々と高速で現れては去っていく展開に、やや駆け足の印象も否めません。多くのエピソードを詰め込んでいる分、ダイジェスト的な側面が強く、じっくりとキャラクターの内面を味わいたい方には少し物足りなさを感じる部分もあります。しかし、その分多彩な登場人物の動きや壮大な戦闘シーンが連続し、観る者を飽きさせない工夫が随所に光っていました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2020/12/25 Amazonプライム・ビデオ

監督勝間田具治 
監修舛田利雄 
脚本笠原和夫 
出演(声)渡哲也 
あおい輝彦 
青野武 
石田太郎 
津嘉山正種 
潘恵子 
中西妙子 
滝口順平 
家弓家正 
中田浩二 
矢田耕司 
吉田理保子 
宮内幸平 
野田圭一 
金内吉男 
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