映画【鉄拳 ブラッド・ベンジェンス】感想(ネタバレ):原作ゲームファン必見!映像とアクションで魅せる実写化映画

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●こんなお話

 中国拳法の達人が陰謀に巻き込まれる話。

●感想

 本作品は、原作となっているゲームを全く知らない方にとっては、登場人物の背景や設定が把握しづらく、物語の展開についていくのが非常に難しい内容であると感じました。そのため、ゲームのファンでなければ楽しみ方がわからない構成になっているのではないかと思います。

 物語の主人公は、中国拳法の達人である女子高生というユニークなキャラクターで、パンダに乗って学校に登校するという演出から始まります。シュールな登場シーンだったと思います。

 やがて、彼女はGコーポレーションなる組織からの命令により、別の高校へと転校し、そこで調査任務にあたることになります。転校先で出会う女子高生と徐々に親しくなっていくのですが、実はその生徒はロボットであったという設定が明かされ、金閣寺を舞台としたバトルシーンも展開されるなど、映像面では迫力のある場面も見受けられました。

 しかしながら、物語の中盤以降になると、主人公の行動の動機が不明瞭になり、観客としては「なぜこの展開が続いているのか」と疑問を感じる場面が多くなります。主人公は組織に裏切られたのか、それとも自ら離反したのかといった点も描写が不十分で、物語に対する理解が進まず、感情移入がしにくい状態でした。ロボットと過ごす長い日常描写についても、やや冗長で、作品のテンポを損ねているように感じられました。

 さらに物語が進むと、三島一族というキャラクターたちが突如として登場し、親子喧嘩とも言える壮絶な戦いが繰り広げられるのですが、彼らの関係性や背景が説明されないまま展開が進むため、「この人たちは誰なのか」と戸惑いを覚えました。加えて、主人公がその戦いに全く関与せず傍観しているように見える点も、物語上の役割が不明確で違和感が残りました。

 クライマックスでは、「デビルになれる細胞」をめぐる戦いが主軸となるようですが、その重要な設定がいつの間にか物語に組み込まれていたため、視聴中にその変化に気付けず、混乱を招きました。そのため、序盤から中盤にかけての主人公とロボットの交流シーンの比重が大きすぎたのではないかと感じます。

 原作ゲームを知っている方であれば、おそらくキャラクターの登場や展開に対して「あるあるネタ」として楽しめる要素が多く含まれていたのかもしれません。しかし、ゲームを全く知らない視聴者にとっては、キャラクターの関係性や物語の構造があまりにも不親切に感じられ、せっかくの映像表現やアクションシーンが活かしきれていないようにも思えました。

 ゲームファンには刺さるかもしれませんが、映画単体としての完成度や物語性には課題が残る作品だと感じました。

鑑賞日:2012/04/09 DVD

監督毛利陽一 
脚本佐藤大 
出演(声)坂本真綾 
松岡由貴 
宮野真守 
篠原まさのり 
千葉一伸 
田中敦子 
渡辺明乃 
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