映画【イップ・マン 葉問】感想(ネタバレ):香港で描かれる誇りと友情のカンフーアクション

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●こんなお話

 香港で武術官を開こうとするけど、地元の武術家たちと争いになったり。イギリス人にバカにされて中国武術の誇りのために戦う話。

●感想

 第二次世界大戦後の1949年、詠春拳の達人イップ・マンは妻と共に中国本土を離れ、英国領だった香港へ移り住む。戦争で財産も失い、生活は決して楽ではなく、家族を養うためにイップは詠春拳の武館を開こうとするが、香港ではその名はほとんど知られておらず、弟子もなかなか集まらない。そんな中、若者ウォンが腕試しのために道場を訪れ、イップに勝負を挑むが、圧倒的な実力差で敗北し、その強さと人柄に打たれて仲間たちと共に弟子入りする。

 門下生が増えるにつれ武館はにぎわうが、それが香港武術界の既存勢力の反感を買う。洪拳の師範ホンをはじめとする他流派の師匠たちは、自分たちの縄張りを荒らされたと感じ、イップに対して次々と挑戦を仕掛けてくる。イップは無用な争いを避けようとするが、武術連盟への加入を拒否したことで状況はさらに悪化し、ついにはホンを含む複数の師範と実力で決着をつけることになる。激しい試合の末、イップは実力と誠意を示し、ホンとも互いを認め合う関係になる。

 その頃、香港では英国統治下の支配層が幅を利かせ、中国人や伝統文化は軽視されていた。英国人ボクシングチャンピオンのツイスターが来港し、興行の場で中国武術を侮辱する発言を繰り返したことで緊張が高まる。ホンは香港武術界の代表としてツイスターと戦うが、圧倒的なパワーによって重傷を負い、命を落としてしまう。この出来事は香港中に衝撃を与え、イップは中国武術の尊厳を守るため、ツイスターに挑戦する決意を固める。

 イップは身重の妻と幼い子どもを訓練に集中するために離れた場所に住まわせ、自身は過酷な訓練に没頭する。試合当日、詠春拳対ボクシングという異種格闘戦が始まり、序盤はイップが軽快なフットワークと連打で優位に立つが、試合を取り仕切る英国側の不公平な判定と蹴り技の禁止によって次第に追い詰められる。ツイスターの強烈なパンチで倒されかけながらも、イップはホンの志と中国武術の誇りを胸に立ち上がり、相手の腕と体幹を狙った連続攻撃で形勢を逆転し、ついにツイスターをノックアウトする。

 試合後、不正を働いていた英国人警官の腐敗も暴かれ、イップは勝利に酔うことなく、東洋と西洋の武術が互いを尊重すべきだと観衆に語り、家族のもとへ戻っていく。

 そして武館には新たな少年が訪れ、自分も詠春拳を学びたいと名乗る。その少年こそ後に伝説となるブルース・リーであり、イップの物語は次の世代へと受け継がれていっておしまい。


 香港に渡ったイップ師匠が、異なる流派や支配者の偏見にさらされながらも武術を通して尊厳を示していく流れはとても胸に響きました。前半のサモ・ハン演じるホン師匠との対決は、重量感のある動きと技の応酬が見応え抜群で、画面から伝わる迫力に思わず身を乗り出してしまいました。

 後半のボクシングとの対決は、単なる勝ち負けを超えて文化と誇りの衝突を描いており、ドニー・イェンの演技とアクションが物語に深みを与えていたと思います。何十人もの敵を相手にする場面や、追い詰められてからの逆転劇は王道ながらも爽快で、カンフー映画の醍醐味をしっかり味わわせてくれました。

 一部のサブキャラクターの扱いがやや軽く感じられる点はありましたが、それを補って余りあるアクションと感情の高まりがあり、シリーズの中でも特に娯楽性の高い一本として楽しめました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2011/06/14 Blu-ray 2020/08/19 Blu-ray 2026/01/11 U-NEXT

監督ウィルソン・イップ 
アクション監督サモ・ハン・キンポー 
脚本エドモンド・ウォン
出演ドニー・イェン 
サモ・ハン・キンポー 
ホァン・シャオミン 
リン・ホン 
ルイス・ファン 
ダーレン・シャラヴィ 
ケント・チェン 
サイモン・ヤム 

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