映画【日本黒社会 LEY LINES】感想(ネタバレ)

●こんなお話

　中国人の主人公たちは幼いときからいじめられてマイノリティとしての孤独な生き方をしている。ブラジルに行きたいという目的に向かって歌舞伎町を舞台にトルエンを製造したりして金を稼ごうとするけどチャイニーズマフィアに狙われて……という話。

●感想

　田舎町で暮らす主人公や弟や友達と暮らしているけど、職場の社長がブラックで耐え切れず反乱を起こして東京に出ようと直前で辞める仲間とかもいるけれど東京へ。

　新宿でトルエンを売っているガーナ人に出会ってトルエンを売ることになる。売春婦の女性がいて酷い扱いを受ける客に出会ったり稼いだ金を男にとられたりひどい目に遭っている。

　その売春婦が主人公たちの金を奪って、主人公の弟がその売春婦と出会って仲間になっていく。ヤクザたちに目を付けられるので、日本もだめだということで外に出ようとブラジルに行こうと決意してヤクザたちのアジトに突入して大金を盗むけど、仲間の1人が撃たれて重傷を負って亡くなる。

　さらに弟はベトナム人社長に襲われて行方不明。船までたどり着くけどヤクザたちの待ち伏せにあうけど、銃撃戦になって海に飛び込む。手漕ぎボートで血まみれで海を漕いでおしまい。

　計画をたてるというわけでもなく、若者らしい何も考えずに無軌道な生き方をひたすら追いかけていて、暴走したその先の結末というのはわかっていますが。ラストシーンの空撮は綺麗で印象に残るものでした。新宿の街を舞台に無国籍な世界観の中でバイオレンスにエロにと三池風味がたくさんありますが、王道の青春映画でもある。

　若者たちが自分たちの夢に向かってひたすら突き進む姿を独特のカメラワークも素晴らしいです。特に序盤、田舎町から飛び出して電車がやってきて乗り込むまでをワンカットで見せたりしつつ。ほとんどアップがなくて引きの映像ばかりなのに感情移入をさせない映像になっているのに、いつの間にかのめりこんでいってしまいます。いつまでも終わりたくないという空撮の見事さ。独特のフィルターの映像での原チャリや自転車で走るシーンなんかは泣きそうになりました。

　ただエロいしグロいし好みがわかれる作風だとは思いました。

　暴力もセックスもどこかユーモアに描いていて、どこかへ飛び出したいという熱。けれどもその先には何もないという寂しさを描いていると思いました。

☆☆☆

鑑賞日:2013/07/27 DVD　2024/02/24 WOWOW