映画【ゼイリブ】感想(ネタバレ):サングラスをかけたら真実が見える!社会風刺と陰謀の世界

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●こんなお話

 サングラスをかけると地球侵略を狙うエイリアンが人間社会に忍び込んでいることに気づく話。

●感想

 日雇いの肉体労働で食いつなぐ主人公は、現場で知り合った労働者の親切で、寝泊まりできる場所や炊き出しの情報を教えてもらう。そこにあった教会に足を踏み入れると、讃美歌はテープで流されていて誰の姿もない。奥からは謎の人物たちが何かを話し合う声が聞こえてくる。

 その夜、警察によるホームレスの強制排除が行われ、主人公を含む人々は逃げ惑う。襲撃のあと、教会に戻った主人公は隠し部屋で謎のサングラスを発見。そのサングラスをかけると、街の広告やテレビ番組が「消費しろ」「従え」といった本質的なメッセージに変わって見え、さらに一部の人間が恐ろしいエイリアンの顔をしていることにも気づく。

 エイリアンたちも主人公の動きに気づき、追ってくる。警官の姿をしたエイリアンを射殺した主人公は武装し、銀行へ逃げ込むとそこにいたエイリアンたちも射殺。逃走の末、女性を人質にとって彼女の家へ避難するが、突き飛ばされて外へ投げ出され負傷する。

 再び日雇い仲間の元を訪ね、サングラスをかけさせようとするも拒まれ、10分近くの壮絶な殴り合いに発展。無理やりサングラスをかけさせたことで、仲間もエイリアンの存在を信じるようになる。

 そこへ、エイリアンに抵抗するレジスタンスが接触。彼らは武器を持ち、行動を起こそうとしていたが、エイリアンの急襲で壊滅状態に。生き残った主人公たちは、エイリアンの腕時計型転送装置を使って、協力者の集まるパーティー会場へ。そこでエイリアンたちが人間社会を支配するために利用している通信施設を突き止め、破壊を目指す。

 しかし、協力者だと思っていた女性が実はエイリアン側のスパイ。主人公は撃たれながらも通信施設の破壊に成功し、ついに人々の目にエイリアンの姿が明らかになる。

 社会風刺の効いたストーリー展開が魅力で、格差社会や資本主義に対する痛烈な皮肉が込められている。サングラスをかけると本質が見えるという設定がユニークで、白黒の映像で不気味なエイリアンが浮かび上がるシーンは、怖さより笑いを誘うシュールさがありました。 

 突如ショットガンを持って虐殺を始める主人公の突飛さも面白く、彼の行動に「待て、早まるな」と言いたくなる気持ちを抱きました。それでもエイリアンたちが本当に支配を目論んでいたと分かってホッとするものでした。

 90分の短さでテンポよく見られる映画で、中盤の「サングラスをかけさせるか否か」の殴り合いシーンが異様に長く、その熱量は笑ってしまうほど。常に流れる単調な音楽が、逆に作品の奇妙な雰囲気を引き立てていると思います。

 ユーモアと社会批評が絶妙にミックスされた、資本主義社会の問題点を描いた映画でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2012/03/07 DVD 2024/05/12 U-NEXT

監督ジョン・カーペンター 
脚本フランク・アーミテイジ 
原案レイ・ネルソン 
出演ロディ・パイパー 
キース・デイヴィッド 
メグ・フォスター 
ジョージ・バック・フラワー 
ピーター・ジェイソン 
レイモン・サン・ジャック 
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