●こんなお話
超常現象の摩訶不思議な事件が起きて、その事件を捜査するFBI捜査官とアドバイザーとなる精神病院に入っていた博士とその息子なチームの話。
●感想
FBI捜査官のオリビア・ダナムは、飛行機事故の調査をきっかけに、通常の科学では説明できない異常現象を担当する部署であるフリンジ・ディビジョンへ配属される。異常事態の背後には未知の理論や奇妙な実験、解明されていない技術が潜んでおり、彼女はその核心へ踏み込んでいくことになる。そこで出会うのが、過去にさまざまな研究を行いながら17年間精神病院で過ごした天才科学者ウォルター・ビショップと、皮肉混じりの態度を見せながらも父親を支える息子のピーター・ビショップだった。
彼らが調査する異常現象は“パターン”と呼ばれ、互いに関係がないようでありながらどこかに共通点を含んだ事件が続いていく。シリーズ冒頭では、国際便の飛行機がボストンへ到着した際、乗客全員が不可解な状態で死亡しているという衝撃的な現場から物語が始まる。その後も、急激に老化する赤ん坊や、人の身体から謎のウイルスが発生するケース、常識では理解できない予知能力を持つ人物など、多種多様な事件が次々と発生し、三人はそれぞれの立場から謎の核心に近づいていく。
ウォルターは研究室を再開し、かつて自分が関わった極秘プロジェクトについて控えめに語りつつ、曖昧な記憶の隙間から事件との繋がりを示すような発言を重ねる。ピーターとの関係にも複雑さがあり、親子として距離を置きながらも協力せざるを得ない状況が二人の空気を独特なものにしている。一方のオリビアは、自分が幼いころに受けた薬物実験が今も深く影響していることに気づき始め、忘れていた記憶と不可思議な能力が彼女自身の過去と現在を結びつけていく。
物語が進むにつれて、事件の裏側には巨大企業マッシブ・ダイナミックの影響と、ZFTと呼ばれる組織の動きが絡んでいることが明らかになっていく。さらに、オリビアの前には“監視人”と呼ばれる存在が現れ、彼女たちが追っている事象がより大きな広がりを持つことを示唆する。シーズン後半では、オリビアが並行世界の映像を見るようになり、それが自身の幼少時の実験と結びついていることを理解していく。最終話ではチームがマッシブ・ダイナミックとZFTの衝突に巻き込まれ、異世界と自分たちの運命に関わる大きな謎へ到達するところで物語はおしまい。
人間が溶けたり未知の生物が現れたり、常識を飛び越えた事件が次々に描かれていき、その映像的なインパクトにとても惹かれました。ボストンの街並みを含め、画面の色使いや質感が落ち着いていながらも緊張感を持ち、世界観に深く入り込める雰囲気がよかったです。基本的には1話完結形式ですが、その裏に巨大企業の影や組織的な思惑が流れていて、シリーズ全体で大きな物語が少しずつ姿を現していく構成も魅力的でした。
また、登場人物がそれぞれに個性があり、ウォルター博士のずれた台詞回しや、いつも冷静で責任を抱えるオリビア、皮肉と優しさを行き来するピーターなど、関係性そのものに温度があって、見続けながら愛着が湧いていくのが楽しかったです。事件の解決策は異常事件らしくとんでもない方法が選ばれることもありますが、専門用語と勢い、そして説得力のある映像表現が相まって、つい納得してしまう構築が巧みだと思いました。
特に最後の数話は物語の広がりが一気に大きくなり、次のシーズンをすぐに見たくなる終わり方で、シリーズの引きつける力を強く感じました。SFとサスペンスが混ざり合う世界を楽しめるドラマだったと思います。
☆☆☆☆
鑑賞日:2014/03/17 DVD 2025/11/24 U-NEXT
| 製作総指揮 | J・J・エイブラムス |
|---|---|
| アクション監督 | ニコラス・パウエル |
| 出演 | アナ・トーヴ |
|---|---|
| ジョシュア・ジャクソン | |
| ジョン・ノーブル | |
| ランス・レディック | |
| ブレア・ブラウン | |
| ジャシカ・二コール |


