●こんなお話
なかなかぶっ飛んだ家族の話。
●感想
冒頭から全裸の遠藤憲一が女子高生と援助交際をしているという衝撃のシーンで始まり、しかもその様子が10分近く延々と続く。女子高生から「本番5万円」と言われた遠藤がいざ始めようとすると「早漏!」と罵られる。情事の直後、今度は遠藤が「こんなことをしちゃいけない」と説教を始める。意味がわからず笑えてくる展開に、いきなり引き込まれます。
次第に、この2人が実は親子だと明かされる。つまり、近親相姦から物語が始まっていたという衝撃展開。そこからは怒涛の問題が次々と押し寄せる。息子の家庭内暴力、母の薬物依存、SM、レイプ、殺人、さらには死姦まで詰め込まれた家庭の崩壊が、荒々しい映像で容赦なく描かれていきます。
父親である遠藤は元テレビレポーター。だが、取材中に若者たちに肛門へマイクを突っ込まれ、テレビ局をクビにされるという前代未聞の失態を犯す。このシーンで見られる「お尻全開の遠藤憲一」は、確実にこの映画ならでは。
駅に立っていると、突然コンクリートブロックを持った男に殴られる。なぜかその男が居候として自宅に住み始めるが、最後まで正体も動機も説明されず、存在感が薄いのに妙に気になる。
一方、母は息子に暴力をふるわれながらも薬物依存が進行し、金を稼ぐために売春をしている。息子は息子で家庭内では荒れているが、学校ではいじめを受けており、家が崩壊しかねない勢いで花火を打ち込まれるなど、レベルが常軌を逸している。
主人公の父は、このいじめをドキュメンタリーにしようと決意。だが、同僚の女性キャスターに断られたことに逆上し、彼女を殺してしまう。その遺体処理中、なんと死体に対して行為を始めてしまうという衝撃の展開に突入。「すごいです!死んでるのに濡れてます!人間の神秘です!」と語る遠藤のテンションに、笑っていいのか戸惑うばかりでした。
なぜ濡れているのかという理由も後に明かされ、それもまた衝撃的でした。終盤、息子のいじめ相手に「祭りだ!よいしょ~!」と叫びながら突撃する遠藤の狂気じみた表情は、目に焼き付くレベル。
内田春菊演じる母親も負けておらず、最終的には母乳を出すことで物語を締めるという衝撃のラスト。この映画の中で最も落ち着いて見られたのが、その母乳だったかもしれないです。
ドキュメンタリー制作という流れに入るまでにやや時間がかかる印象もあったが、それ以降は一気に突き進んでいく。エログロ、不条理、そして意味不明が混在しながらも、見たことがない衝撃映像の連続で、脳がしびれるような体験ができる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日:2014/05/05 DVD
監督 | 三池崇史 |
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脚本 | 江良至 |
出演 | 遠藤憲一 |
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内田春菊 | |
渡辺一志 | |
中原翔子 | |
不二子 | |
武藤洵 | |
鈴木一功 |