映画【トウキョウソナタ】感想(ネタバレ)

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●こんなお話

 ある家族4人がそれぞれ問題を抱えながら元気になったりダメになったりしながらも希望が見えてくる話。

●感想

 リストラになってそれを家族に言えず隠しながらハローワークに通うお父さん。良妻賢母に見えるお母さんは誰からも相手にされない。長男はアメリカ軍に入隊してしまう。次男は給食費をごまかしてピアノを勝手に習い始める。

 深刻なモチーフで暗くなりそうな展開ですが、良い感じに適度に笑いの要素が入ってきてそれが絶妙なのがよかったです。お父さんの同級生もリストラされて10分おきだかにケータイが鳴る設定にしていて仕事の電話のふりをする芝居をしてたり、家族にバレそうだからとお父さんに協力を依頼して一緒に食事をするけど娘さんに「いろいろ大変ですね」と全部見透かされてたり。けどこの同級生の末路がかなり深刻なものなのはショッキングでした。次男の給食費が払われいないとお母さんに先生が報告した時に「彼はいじめをしてますよ」「誰に」「私にです」という会話とか面白すぎます。
 そして後半はマヌケな強盗役の役所広司さんが全部持って行っちゃうという。

 お父さんは必死に職探しをしてハローワークに行列して並ぶけど、簡単にあしらわれたり。面接で若造に「特技はカラオケ」と言ってしまったら「ほら、歌ってみてよ」と嫌味たらしく言われたり。見てて辛いです。
 お父さんのリストラからの交通事故とお母さんの強盗のくだりと次男のバスの無賃乗車の3人のエピソードはまるきりバラバラですが、それぞれがボロボロになって家に帰ってきて、特に何があったのか話さずに普通に食事をする。

 そして冒頭では嵐が起こって何か不吉なことがおこりそうだったのに、エンディングでは優しい光の中、あれだけ反対していた次男のピアノを聞いて涙をながすお父さん。それを優しく見守るお母さん。希望の見えるエンディングが素晴らしかったです。
 走る人や車を追いかける横移動のカメラワークとかも印象的でよかったです。

 長男の出番と次男が習うピアノの先生のくだりとか何かありそうだったけど、尻つぼみで終わってしまうのが中途半端な気がしました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2009/05/19 DVD 2014/09/28 DVD

監督黒沢清 
脚本マックス・マニックス 
黒沢清 
田中幸子 
出演香川照之 
小泉今日子 
小柳友 
井之脇海 
井川遥 
津田寛治 
役所広司 
児嶋一哉
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