映画【28日後…】感想(ネタバレ):終末世界で生き延びる術とは?

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●こんなお話

 こん睡状態から目が覚めたら、ロンドンに人っ子1人いなくなっていて、何やら凶暴性な人間がいっぱい現れた世界になってる話。

●感想

 環境活動家が、研究用に実験されていたチンパンジーをかわいそうに思って逃がそうとするところから物語が始まる。しかしその行動は裏目に出て、凶暴化したチンパンジーに襲われ、事態は急速に悪化する。

 病院で目を覚ました主人公が見たのは、誰もいなくなったロンドンの街。人の気配もなく、不穏な静けさが広がるなか、教会へ足を運ぶと突如として凶暴化した人間に襲われてパニックに。間一髪のところで火炎瓶を持った男女2人組に助けられる。文明が崩壊し、感染が広がっていることを知らされる中、仲間のひとりが襲われ負傷。それを見た女性は、感染を防ぐため即座に彼を殺害する。感染したら数十秒以内に処理しなければならないという世界のルールが突きつけられる。

 主人公と女性の2人で移動を続けていると、明かりのついたマンションを見つけ、中にいた父娘に迎え入れられる。父親は、無線で軍のメッセージを受信していたことから、そこに向かうことに。道中ではスーパーで物資を調達したり、車でピクニック気分を味わうような穏やかな時間も描かれ、終末世界の中にも人間らしい日常のかけらが映し出される。

 しかしトンネルでは感染者の大群に襲われるなど、常に危険は隣り合わせ。そしてついに目的地に到着するも、そこに軍の姿はなく、父親は怒って壁を蹴ってしまう。すると、上から感染者の血液が目に入り、あっという間に感染。軍が現れるも、父親は射殺される。

 軍の施設に保護されたと思いきや、上官から「女性を差し出せ」という命令が下され、主人公たちは再び命を狙われることに。主人公は処刑されそうになるが脱走し、感染者を施設内に放って混乱を誘発。その隙に女性たちを救い出すが、自らも負傷しつつ上官を感染者に襲わせる。ラストは飛行機が空を飛んでいるのを見つけ、希望を込めたメッセージを送って物語はおしまい。

 印象的だったのは、誰もいないロンドンの街並みを写す不思議な映像で。静けさと不気味さが共存する画面のルックが非常に魅力的でした。感染者から逃げるスリリングな展開も多く、サバイバルスリラーとしての緊張感が保たれていると思います。

 また、マンションでの父娘との出会いや共同生活の描写には、終末世界における日常の温もりがあり、こうした時間があることで後半のハードさがより引き立っていたと思います。ただ、物語中盤から登場する軍隊によって作品のトーンが大きく変化し、そこからは「ゾンビより人間が怖い」という、やや既視感のあるテーマが前面に出てきてしまっていると思いました。

 主人公が突然サバイバルの達人のように軍人たちを相手に立ち回る展開も、リアリティより演出優先に見えてしまい、没入感が薄れてしまったり。文明崩壊からわずか28日で軍人たちが王国のような支配構造を作ろうとする動機もやや唐突で、ラストに向けての展開には疑問が残りました。

 とはいえ、世界観の構築やビジュアル、序盤の緊張感、そして希望のラストカットなど見どころは多く、終末ものサバイバル映画の中でも記憶に残る一本でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/03/01 DVD 2025/06/09 Amazonプライム・ビデオ

監督ダニー・ボイル 
脚本アレックス・ガーランド 
出演キリアン・マーフィ 
ナオミ・ハリス 
ミーガン・バーンズ 
ブレンダン・グリーソン 
クリストファー・エクルストン 
レオ・ビル 
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