●こんなお話
関羽とか張飛とか劉備とか勢力広げるけど、いろいろ問題が起こってなかなか太平の世にならない話。
●感想
三部作の最終章では、これまでとは一味違った視点で物語が進行します。関羽の娘に焦点が当たり、彼女が何とか父・関羽のもとへはせ参じるまでの道のりが丁寧に描かれています。その過程で彼女の師匠ともいえる仙人が登場し、物語に神秘的な要素が加わります。また、曹操の病気や超常現象が物語の深みを増し、三国志の世界観に独特の風格を与えています。
物語が進むにつれて、関羽が呉軍の攻撃を受けて危機的な状況に追い込まれ、これに呼応する形で弔い合戦が始まります。周囲の反対を押し切って関羽が出陣し、その中で張飛や劉備といった主要人物が相次いで退場する展開は、視聴者に寂しさと哀愁を感じさせるものです。一方で、孔明が最も信頼する弟子を泣きながら斬るという有名なエピソードを含め、多くの名シーンが盛り込まれており、三国志のエッセンスを凝縮した教科書のような作品に仕上がっています。
全体で7時間を超える大作ながら、物語の進行は実に迅速で、「それから6年が経ち」といったナレーションで時代が飛んでいく様子には、感慨に浸る時間がほとんどありません。登場人物たちの旅立ちもナレーションで簡潔に紹介され、どこか寂しい気持ちが残る構成となっています。しかし、谷村新司さんが歌う主題歌が流れる瞬間には自然と涙が込み上げ、作品全体の感動を一層深めてくれます。そして、目を開けたまま眠る張飛の印象的な寝姿が観る者の記憶に強く残ります。
この三部作は合計7時間にわたる大河ドラマのような壮大なスケール感を持ち、アニメーション作品としても非常に見応えのある仕上がりとなっています。歴史の大きな流れを感じつつ、多彩なキャラクターたちの活躍や人間模様を楽しめる貴重な作品です。
☆☆☆☆
鑑賞日:2020/12/31 Amazon・プライム・ビデオ
監督 | 勝間田具治 |
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製作 | 笠原和夫 |
出演(声) | 渡瀬恒彦 |
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あおい輝彦 | |
青野武 | |
石田太郎 | |
山口崇 | |
鶴ひろみ | |
大塚周夫 |