●こんなお話
謎の男と出会ったヒロインが陰謀に巻き込まれてドタバタアクションする話。
●感想
クラシックカーの修理をしながら平凡な毎日を送っていたジューン・ヘイヴンスは、妹エイプリルの結婚式へ向かうためウィチタ・ミッド・コンティネント空港を訪れる。そこで何度も肩がぶつかるハンサムな男ロイ・ミラーと出会い、どこか運命的な空気を感じる。ロイは気さくでユーモアにあふれ、ジューンが思い描いていた理想の男性そのものだった。
だが飛行機へ搭乗した直後から状況は一変する。離陸後、乗客や客室乗務員たちが突然ロイへ襲いかかり、機内は大混乱となる。ロイは平然と相手を叩きのめし、狭い機内で次々と敵を制圧していく。さらに操縦士までも死亡してしまい、ロイは自ら操縦席へ座る。恐怖で泣き出しそうになるジューンを横目に、ロイは飛行機を巨大なトウモロコシ畑へ強引に不時着させる。
ロイは「君も追われることになる」と告げ、ジューンへ睡眠薬を注射する。翌朝、自宅で目覚めたジューンは悪夢だったと思い込もうとするが、すぐにCIA捜査官たちから事情聴取を受ける。ロイは国家機密を盗み出した危険人物として追われていた。
その後、護送中だったジューンの前へロイが現れ、高速道路で銃撃戦と大規模カーチェイスが始まる。ロイは追跡してくるCIA部隊を次々と撃退しながら、強引にジューンを連れ去る。突然スパイ映画の主人公のような状況へ放り込まれたジューンは完全に混乱し、ロイを危険人物だと思い始める。
恐怖に耐えきれなくなったジューンは逃げ出し、元恋人ロドニーの家へ駆け込む。しかしそこへロイが現れ、ロドニーの足を撃ち抜き、ジューンを再び車へ押し込む。笑顔のまま危険行為を繰り返すロイに対して、ジューンはますます怯えていくが、ロイは「本当に危険なのはCIA内部だ」と語る。
ロイが守っていたのは、“ゼファー”と呼ばれる超小型永久電池だった。それは都市全体や潜水艦すら動かせるほどの膨大なエネルギーを生み出す革命的な発明であり、各国の諜報機関や武器商人たちが狙っていた。発明者は高校を卒業したばかりの若き天才科学者サイモン・フェックで、彼もまた命を狙われながら逃亡生活を送っていた。
ロイとジューンは、サイモンが身を隠していた倉庫へ向かう。しかし特殊部隊の襲撃によって激しい銃撃戦が始まり、ジューンは恐怖で取り乱す。ロイは彼女へ鎮静剤を打ち込み、眠らせた状態で脱出する。
次にジューンが目を覚ますと、そこはロイの隠れ家である南国の孤島だった。ロイは倉庫から脱出したあと、彼女を連れてここまで逃げ延びていた。しかしジューンが妹からの電話に出たことで位置を探知され、島へ戦闘機による爆撃が始まる。ロイは小型ヘリコプターで脱出するが、またしてもジューンを眠らせて運び去る。
その後、ジューンが目を覚ますと、オーストリア・アルプスを走る列車の中にいた。そこで凄腕の殺し屋との戦闘が始まり、ロイは狭い通路で派手な格闘戦を繰り広げる。やがてサイモンとも再会し、ゼファーを巡る争奪戦はさらに激しくなっていく。
ザルツブルクへ到着した一行はホテルへ滞在するが、夜中にロイを尾行したジューンは、彼が武器商人アントニオ側の女性工作員と密会している現場を目撃する。ロイはゼファーを売り渡すような会話をしていたため、ジューンは完全に裏切られたと思い込む。
そこへFBIやCIAが現れ、ロイは以前から組織を裏切り続けてきた危険人物だと説明する。ジューンはその話を信じ込み、自分が利用されていたのだと絶望する。サイモンはCIAへ拘束され、ロイはオーストリア警察との銃撃戦の末に川へ転落し、行方不明となる。
アメリカへ帰国したジューンは妹の結婚式へ出席するが、ロイが残した“アマポーラ”という言葉が頭から離れない。彼女は結婚祝いとして用意していたポンティアックGTOへ乗り込み、アマポーラへ向かう。
そこには高額宝くじへ何度も当選したという裕福な老夫婦が暮らしていた。家の中にはロイそっくりの男性の写真が飾られており、その男はクウェートで戦死した老夫婦の息子マシューだった。ロイは任務のため別人の人生を利用していたことが示され、ジューンは彼の孤独な生き方を知ることになる。
その後、ジューンは武器商人アントニオとの取引現場へ向かうが、逆に拘束されてスペイン・セビリアへ連行される。自白剤を打たれ尋問されるジューンだったが、そこへロイが現れて救出する。街では牛追い祭りの最中に大規模な銃撃戦とバイクチェイスが始まり、暴走する牛の群れの中をロイとジューンが駆け抜けていく。
ロイはサイモン救出にも成功するが、戦闘中に撃たれてしまい、ゼファーは敵側へ奪われる。しかしサイモンは「あれは未完成の失敗作だ」と告白する。その直後、ゼファーを積んだ飛行機は空中で大爆発を起こす。
最後はロイが浜辺で目を覚ます。そこは南アメリカ最南端ホーン岬近くのビーチだった。ジューンは彼の隣にいて、2人はクラシックカーへ乗り込み海辺の道を走り出しておしまい。
トム・クルーズとキャメロン・ディアスという、ハリウッドを象徴するスター2人の魅力を全力で堪能する映画でした。とにかく画面へ映っているだけで華があり、2人が会話しているだけでニヤニヤしてしまう不思議な楽しさがあります。ストーリー以上に、このスターオーラそのものを浴びるための映画として成立しているのが凄いです。
冒頭の飛行機アクションから一気にテンションが上がりました。狭い機内でトム・クルーズが軽々と敵を倒し、平然とした顔で飛行機を不時着させる流れが最高です。普通なら絶叫しているような状況なのに、終始余裕の笑顔なのが逆に怖く、そこへ振り回されるキャメロン・ディアスのリアクションが非常に面白かったです。
その後も倉庫での銃撃戦、孤島での爆撃、列車内での格闘戦、高速道路でのカーチェイスなど、大作映画らしい派手なアクションが次々と続いていきます。特にボンネットへ飛び乗りながら戦うシーンや、クライマックスの牛追い祭りの中を突っ走るバイクチェイスは、ハリウッド娯楽映画のサービス精神が詰め込まれていて楽しかったです。
無限エネルギーを生み出すゼファーを巡る争奪戦という設定もシンプルでわかりやすく、そこへ若き天才科学者の保護任務、CIA内部の裏切り、ラブコメ要素まで全部詰め込んでいるので、100分間ほとんど退屈しませんでした。難しいことを考えず、勢いとテンポで最後まで突っ走るタイプの映画でした。
そして何より、この映画は“笑顔のトム・クルーズが怖い”という一点だけでも成立しています。どんな危険地帯でも爽やかな笑顔のまま近づいてきて、人を撃ち、車を爆走させ、飛行機を墜落させる。その異常さをキャメロン・ディアスと同じ目線で味わう映画になっていて、ラブコメなのに少しホラーみたいな感覚すらありました。
スパイ映画、ロマンティックコメディ、ロードムービーを全部まとめて軽快に仕上げた、夏休み映画みたいな楽しさが詰まった一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2011/02/05 Blu-ray 2020/08/25 Amazonプライム・ビデオ 2026/05/24 U-NEXT
| 監督 | ジェームズ・マンゴールド |
|---|---|
| 脚本 | デイナ・フォックス |
| スコット・フランク | |
| パトリック・オニール |
| 出演 | トム・クルーズ |
|---|---|
| キャメロン・ディアス | |
| ピーター・サースガード | |
| ポール・ダノ |


