映画【ラーゲリより愛を込めて】感想(ネタバレ):シベリア抑留の壮絶な実話を描いた感動作|希望をつなぐ遺書の記憶

Fragments of the Last Will
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●こんなお話

 シベリア抑留で何とか帰国への希望を持って頑張る話。

●感想

 満州で主人公の家族が結婚式に出ている最中、日本に新型爆弾が落ちたという知らせが入る。日本への帰国準備を進めていた矢先、ソ連が参戦し一気に攻め込んでくる。主人公たちも命からがら逃げ出すが、主人公は子どもを助けようとして負傷し、家族だけを先に逃がすことになる。

 その後、主人公はシベリアへ向かう列車に乗せられ、収容所に入れられる。そこでは日本軍時代の上下関係がそのまま続き、かつての上官に殴られながら過酷な労働を強いられる。やがて帰国が決まり列車に乗るものの、途中で止まり、一部の人間だけがまた収容所へ戻される。主人公はスパイ容疑をかけられ、刑期がさらに延びてしまう。

 収容所では、かつての上官や文字が読めないと言う男と出会い、仲間たちと野球をしたりしながら懸命に生き抜いていく。やがて主人公は病に倒れるが、なかなか診察も受けさせてもらえない。仲間たちがハンストを決行し、ようやく大きな病院で診てもらえることになる。診断結果は末期のガン。仲間たちは主人公に遺書を書くよう勧める。

 しかし遺書は日本語だと没収されてしまうため、仲間たちは内容を分割してそれぞれが暗記し、密かに日本に持ち帰る。帰国後、主人公の家族のもとを訪ね、それぞれが暗記した遺書を伝える。そして2022年、主人公の息子が孫の結婚式に出席する場面で物語はおしまい。

 主人公の人柄に触れて周囲が変化していく構成だが、なぜ周りの人たちが希望を持ったり変わっていくのか、もう少し掘り下げがあってもよかったです。映像についても、シベリアのはずがどうしても日本の紅葉の景色にしか見えず、採石場のようなロケーションがヒーロー戦隊っぽく見えてしまうのが少し残念でした。

 とはいえ、ラストの遺書のエピソードは心を打たれましたし、静かに感動できました。エピローグの2022年のくだりは必要だったかどうか微妙なところですが、どんな状況でも希望を失わずに生きようとする人間の力強さを描いた作品として、観てよかったと思える映画でした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/12/28 Amazonプライム・ビデオ

監督瀬々敬久 
脚本林民夫 
原作辺見じゅん
出演二宮和也 
北川景子 
松坂桃李 
中島健人 
寺尾聰 
桐谷健太 
安田顕 
奥野瑛太 
金井勇太 
中島歩 
田辺桃子 
佐久本宝 
山時聡真 
奥智哉 
渡辺真起子 
三浦誠己 
山中崇 
朝加真由美 
酒向芳 
市毛良枝 
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