映画【リーサル・ストーム】感想(ネタバレ):嵐と閉鎖空間の緊張感が光る異色アクション映画

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●こんなお話

 巨大ハリケーンが襲ってくる最中のマンションで何人か残った住民たちを避難させる警官などに残っているところに武装強盗団が襲ってくる話。

●感想

 嵐が襲い、武装集団がマンションに押し入るという設定は、「要塞警察」や「ダイ・ハード」といった閉ざされた空間ものの緊張感に、ディザスターものの嵐が加わり、さらにはアニマルパニック要素も混ざった興味深い組み合わせで期待が高まりました。しかし、残念ながらその設定の面白さが最も印象に残るだけで、それ以上の深みや魅力は感じられなかったです。

 住民の一人がペットとして飼っている猛獣が、警官の制服を襲うための訓練を受けているというシーンは、逆にオチが読めてしまうため笑ってしまうようなユーモアを含んでいました。物語の本編に入るまでの時間が長く、主人公の過去の傷やカテゴリー5のハリケーンの接近、住民の避難、メインキャラクターたちの出会い、強盗団の紹介と序盤が冗長に感じられました。

 襲撃シーンが始まっても、マンションの広さが不明瞭で、狭い廊下を行ったり来たりするだけで、敵の位置や距離感が掴めず、閉鎖空間ものとしての緊迫感は薄く感じます。アクションは殴り合いが中心で、なぜ勝敗が決まるのかも分かりづらく、主人公たちが高所から落ちたり銃撃を受けても異様に強いというツッコミどころだと思います。

 アクションの合間には、主人公の誤射事件の悩みや黒人警官から受けた差別、ナチスの息子としての生きづらさなど社会問題が挿入されますが、ジャンル映画としては単に冗長で物語の流れを止めているように感じられます。

 メル・ギブソンは常に咳き込み、ヨレヨレの状態で、かろうじて一瞬だけ拳銃を撃つシーンがあるが、防弾チョッキがほとんど意味を成さず弱っていく姿は少し切なかったです。また邦題の「リーサル・ストーム」というタイトルも、本編の内容とはややミスマッチで物悲しさを覚えてしまう1作でした。

☆☆

鑑賞日:2021/03/01 T・ジョイPRINCE品川

監督マイケル・ポーリッシュ 
脚本コーリー・ミラー 
出演メル・ギブソン 
ケイト・ボスワース 
エミール・ハーシュ 
デヴィッド・ザヤス 
ステファニー・カヨ 
ウィル・キャトレット 
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