映画【ふしぎの国のアリス】感想(ネタバレ):奇妙な冒険と魅力的な世界観

Alice-in-Wonderland-(1951)
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●こんなお話

 白うさぎを追いかけて不思議の国に迷い込む人の話。

●感想

 遠くにそびえるお城を背にして、手前では姉が本の読み聞かせをしている。そのそばにいるのが主人公のアリス。しかし、挿絵もない本に興味を持てず退屈そうにしていると、彼女の前に懐中時計を持った白うさぎが慌ただしく走り抜けていく。気になったアリスはその後を追いかけ、木の根元の大きな穴へと落ちてしまう。そこから奇妙で不思議な冒険の旅が始まる。

 落下した先では、クッキーを食べると体が大きくなったり小さくなったりする不思議な現象に翻弄され、自らの涙に流されてワンダーランドへとたどり着く。そこからは個性豊かな住人たちと次々に出会うことになる。双子のようなキャラクターは歌を歌いながら見知らぬ人の回想を見せ、消えたり現れたりするチェシャ猫と遭遇し、さらに奇妙なお茶会では話がかみ合わない人々に質問攻めにされて困惑する。

 やがてアリスは赤の女王と出会う。強権的で独裁的な女王にスポーツ対決を挑まれ、勝利したことで気に入られたかに見えたが、すぐに裁判にかけられて死刑を言い渡されるという理不尽な展開に巻き込まれる。そこから必死に逃げ出したアリスは、最初に通った扉の前に戻り、ようやく外へ脱出。目を覚ますと現実の世界で、姉が優しく声をかけてくる。夢から覚めたアリスは再び日常に戻っていくのだった。

 一体目の前で起きていることは何なのか。次から次へと不思議なキャラクターが現れては問いかけや歌を投げかけてくる。物語はあっちへ行ったかと思えばまた別の方向へと移り変わり、観客もアリスと一緒に翻弄され続ける。70分間にわたって浴びせかけられる摩訶不思議な出来事の連続が印象的だった。

 ウサギを追いかけて穴に落ちても冷静に事態を受け止めるアリスのたくましさが魅力的でした。自分の涙で溺れそうになったり、巨大化や小型化を繰り返したりしても、常に前を向いて楽しんでしまう姿には学ぶべきところがあります。何が起きても柔軟に受け止めていくその態度は、作品全体を明るく楽しいものにしてくれており、観ているこちらも自然と前向きな気持ちにさせられる映画でした。

☆☆☆

鑑賞日:2022/12/04 DVD

監督クライド・ジェロニミ 
ハミルトン・S・ラスク 
ウィルフレッド・ジャクソン 
原作ルイス・キャロル 
出演(声)キャサリン・ボーモント 
ビル・トンプソン 
ヴェルナ・フェルトン 
エド・ウィン 
ジェリー・コロンナ 
スターリング・ホロウェイ 
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