●こんなお話
殺し屋が組織の任務に背いてヒロインを守ろうとして殺し屋集団と銃撃戦しまくる話。
●感想
今日も冷徹に暗殺任務をこなしていた主人公だが、任務中に思わず子どもを撃ってしまうという事件が発生する。ターゲットだった子どもの父親は不正に関わる人物で、その証拠となるファイルを元妻が持っているという理由から、今度はその元妻の暗殺を依頼される。
主人公と対になるヒロインは、社長に評価されながら殺し屋として順調に任務をこなしているが、実は家庭では母親の介護をしていて、亡くなった娘の遺品を持ち帰ったりという日々を送っている。娘の遺品の中にあった携帯電話に、父親の不正を示す重要なデータが入っていたことが判明し、それが引き金となって事態が大きく動き始める。
警察に協力しようとデータを持ち込んだヒロインは、社長の送り込んだ刺客に襲われ、中国マフィアが雇った殺し屋までが行動を開始。主人公はヒロインを守るため、団地で激しい銃撃戦を繰り広げる。腹に響く銃声と血しぶき、肉体を破壊するリアルな接近戦、そして多種多様な銃器を駆使したバトルは圧巻でした。アクションのバリエーションは豊富で、見ごたえは十分ありました。
その後、ヒロインが誘拐され、主人公は社長のビルに単身乗り込み、殺し屋たちを次々となぎ倒していく。だが最終的には、自分が子どもを殺してしまった罪と、それでも生きていることへの疲れからか、ヒロインに突っ込んで撃たれてしまう。そして幼少期のアメリカでの回想シーンが流れて物語はおしまい。
アクション面では大満足でした。音響や血しぶき、武器の使い分けなど、細部までこだわっていて見ていて飽きなかったです。ただ、物語のほうは「感情を持たない殺し屋がターゲットを守ってしまい、組織から追われる」という、何度も繰り返されてきた定番パターンをなぞっている印象が強いです。
さらに、冒頭の任務で子どもを巻き添えにしてしまい、ヒロインを殺そうとしたはずが急に浪花節的展開になるので、主人公の凄腕感がやや希薄に感じます。実はもう何回も任務に失敗しているのでは?と思ってしまうような描写もあって、説得力に欠ける部分がありました。
主人公の幼少時代のトラウマや母親との関係も描かれるが、物語に有機的に絡んでいる感じは薄く、ヒロインをなぜ助けようとしたのかという行動動機も見えにくかったです。物語が動き始めるまでに約40分もかかる構成もやや退屈で、前半はヒロインが亡き娘への想いを馳せ、主人公がその様子を見守るという静かな時間が続いて少しダレた印象です。
ただ、中盤以降のデータ争奪戦になってからの展開はスピード感があり、街中で大規模な銃撃戦が展開するシーンなどは、スケールが大きく見ごたえもありました。市街地であんなにド派手にやってるのに一般人が一切出てこないのはご愛嬌かもしれないが、それもアクション映画らしい演出として見れば納得。
総じて言えば、「かっこいいアクションシーンの詰まった映画」ではあるけれど、「アクション映画として全体が面白いか」というと、個人的には物足りなさが残る作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2014/10/20 新宿バルト9 2015/05/14 DVD 2024/03/12 Hulu
監督 | イ・ジョンボム |
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脚本 | イ・ジョンボム |
出演 | チャン・ドンゴン |
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キム・ミニ | |
ブライアン・ティー | |
キム・ヒウォン | |
キム・ジュンソン | |
カン・ジウ |
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