●こんなお話
ホームランダーとの決着をつける話。
●感想
ホームランダーがアメリカを事実上支配し、ヴォート社と政府を一体化させた新たな体制を築くなか、ヒューイ、M.M.、フレンチーは「フリーダム・キャンプ」に収容されている。アニーことスターライトは抵抗組織の中心人物として活動し、ホームランダーの支配に対抗していた。キミコは行方不明となり、ビリー・ブッチャーはチームから離れて単独で行動している。
ホームランダーは自分をアメリカを救う救世主として国民に崇拝させるため、宗教団体「民主教会」を利用する。彼を神格化するプロパガンダが次々と展開され、「ホームランダー・バイブル」まで作られる。一方、アニーはホームランダーとメイヴが旅客機「フライト37」の乗客を救わず、乗客たちを見捨てた過去を示す映像を公開する。しかし、ホームランダーの側近であるシスター・セージは映像をAIによる偽情報だと主張し、ホームランダー陣営は大量の偽情報を流して世論を操作する。
ホームランダーはヒューイ、M.M.、フレンチーを捕らえ、公開処刑すると発表する。これはアニーとブッチャーをおびき出すための罠でもあった。ブッチャーは自分の父親との過去を思い返しながら行動し、行方不明になっていたキミコの居場所を探す。そして、マニラにいるキミコを見つけ出し、ヒューイたちを救出するための作戦に加わる。
救出作戦では、ホームランダーの命令を受けたAトレインがヒューイたちの前に現れる。しかし、Aトレインは命令に背き、ヒューイを逃がすためにホームランダー側と対立する。かつてAトレインはヒューイの恋人だったロビンを高速走行中に轢き殺した人物であり、ヒューイにとって最大の仇の一人だった。それでもAトレインは最後にヒューイを救うことを選び、ホームランダーの攻撃を受けて命を落とす。ヒューイは自分の人生を壊した男に救われるという状況に直面する。
そのころブッチャーは、ヴォート社が開発したスープを殺すウイルスを利用してホームランダーを倒そうとしていた。このウイルスは『ジェン・ブイ』から続く物語ともつながっており、ブッチャーはさらに改良を加えて大量のスープを殺せる兵器にしようとする。彼はサミールからウイルスを受け取り、ホームランダーがヴィクトリア・ニューマンを殺したと信じ込ませることで、彼を利用しようとする。
しかし、ブッチャーが考えていた計画はホームランダーを殺すことだけではなく。ホームランダーを含め、すべてのスープを地上から消し去ろうとしていた。ヒューイやアニーたちはホームランダーを倒すためならウイルスを利用する可能性も考えるが、ブッチャーが復讐心に支配され、誰にも止められなくなることを警戒する。
一方、ホームランダーも自分の肉体が永遠ではないことを恐れ始める。彼は父親であるソルジャーボーイとの関係を利用し、初代コンパウンドVよりも強力な「V1」を探し始める。V1には不死身に近い肉体を作る可能性があり、ブッチャーが持つスープ殺しのウイルスに対抗できる可能性もあった。そのため、ホームランダーとブッチャーはそれぞれの目的からV1を追い始める。
シスター・セージはV1を再現しようとするが、実験は成功せず、被験者が死亡する。M.M.たちはV1の手がかりを得るため、かつてヴォート社の内部事情を知っていたレジェンドを捜す。レジェンドはヴォート社によって人生を奪われた過去を持ち、現在はヴォート社が所有する映画館で働いていた。M.M.たちは彼からV1を利用した可能性があるスープ、ボムサイトについての情報を得る。
ホームランダーを神格化するためのプロパガンダや、彼に忠実なファイアクラッカーの立場、ブラック・ノワールIIとディープの関係、ソルジャーボーイの過去なども描かれる。ファイアクラッカーはホームランダーを崇拝する人々を増やすために宣伝活動を続けるが、ホームランダーは次第に彼女の忠誠心そのものを疑うようになる。シスター・セージもホームランダーにただ従っているわけではなく、独自の目的を持って行動していた。
やがてM.M.たちはレジェンドから得た情報を手掛かりに、V1に関係する場所へ向かう。そこにはかつてV1を使用したスープたちが集まっていた。彼らを追うなかで、ボムサイトがV1によって不死身に近い肉体を手に入れていたことが判明する。しかし、そこへソルジャーボーイが現れる。ソルジャーボーイはボムサイトの能力を奪い、不死身の肉体を失わせる。
ソルジャーボーイはホームランダーに対して複雑な感情を抱いていたが、最終的には自分の息子であるホームランダーにV1を渡す。ホームランダーはV1を自ら使用し、不死身に近い肉体を手に入れようとする。これによって、ブッチャーが持つスープ殺しのウイルスがホームランダーに通用する可能性は大きく低下する。
一方、フレンチーとキミコは、それぞれが抱えてきた過去と向き合っていた。2人は互いに支え合いながら、ホームランダーとの最終決戦に備える。フレンチーはキミコを守ろうとし、キミコもまたフレンチーとの関係を通じて、自分がこれまで抱えてきた罪や過去に向き合っていく。
抵抗組織の戦いには、『ジェン・ブイ』のマリー・モロー、ジョーダン・リー、エマ・マイヤーらも加わる。ホームランダー側の戦力が抵抗勢力を追い詰めるなか、フレンチーはキミコを守るために自分の命を犠牲にする。彼は放射線による攻撃に身をさらし、キミコを救う代わりに命を落とす。キミコは最愛の相手を失う。
そして最終話では、ホームランダーがホワイトハウスを支配し、アメリカを完全に自分の手中へ収めようとする。ヒューイ、アニー、M.M.、キミコら残されたメンバーは、ホームランダーの支配を終わらせるためにホワイトハウスへ向かう。マリー、ジョーダン、エマらも戦いに加わり、ホームランダー側のスープたちと抵抗勢力が激突する。アニーとディープが戦い、ディープが海の生物たちに恨まれていて復讐される。
戦いのなかでキミコはホームランダーと直接対峙し、彼の能力を奪うことに成功する。これまで誰にも止められなかったホームランダーは能力を失い、普通の人間と同じ存在になる。圧倒的な力を失ったホームランダーの前に、今度はブッチャーが現れる。
ホームランダーは命乞いをし、自分が何でもするから助けてくれと懇願する。しかし、ブッチャーはこれまでホームランダーによって命を奪われた人々や、妻ベッカのことを思い出し、彼を許さない。ブッチャーはバールを手に取り、ホームランダーの頭部を貫いて、ブッチャーとホームランダーの因縁に決着がつく。
ホームランダーを殺したブッチャーは、ホームランダーだけを殺しても十分ではないと考え、V1の影響でウイルスが効かなくなったスープも含め、すべてのスープを殺そうとする。ブッチャーはヴォートタワーへ向かい、スープ殺しのウイルスを建物のスプリンクラー設備に仕込もうとする。
ヒューイはブッチャーを追い、彼の計画を止めようとする。ブッチャーはヒューイを説得し、自分の計画を実行しようとするが、ヒューイはこれ以上ブッチャーに人を殺させることを拒否する。2人は対立し、ヒューイはブッチャーを撃つ。
致命傷を負ったブッチャーはヒューイに抱えられ、自分が止まらなかった以上、ヒューイには自分を撃つしかなかったと受け入れる。そして、どれだけ自分がヒューイを苦しめても、ヒューイは最後まで自分自身を失わなかったことを認める。ブッチャーはそのまま息を引き取る。
戦いが終わったあと、ヒューイ、アニー、M.M.、キミコたちは、それぞれの人生を歩み始める。ヒューイとアニーは新しい生活を選び、2人の間には子どもが生まれることが示される。M.M.も家族との生活を取り戻し、キミコはフレンチーを失った後、フランスへ移り住む。ライアンもブッチャーから距離を置き、自分自身の人生を選ぶ。
ホームランダーの支配が終わったことで、ヴォート社を中心とした体制も大きく変化する。スタン・エドガーがヴォート社に戻り、マリー、ジョーダン、エマらも生き残り、それぞれの物語が残される。
最終的に、ホームランダーとブッチャーはともに死亡し、Aトレイン、フレンチー、ファイアクラッカー、ディープら多くの人物もそれぞれの結末を迎えておしまい。
長く続いてきた『ザ・ボーイズ』の物語が、ホームランダーとブッチャーの因縁に決着をつけるところまで描かれたことには、やはり感慨深いものがあります。シーズン1から続いてきた2人の対立を考えると、最後にホームランダーを倒すのがブッチャーであり、そのブッチャーを止めるのがヒューイという流れは、シリーズ全体を振り返ったときに大きな意味を持っていたと思います。
ただ、最終シーズンとして見ると、個人的には少し盛り上がりに欠ける印象もありました。物語の進み方が、手掛かりを探して、次の情報を得て、実験をして、また別の手掛かりを探すという展開の繰り返しに感じられ、ホームランダーとの最終決戦にたどり着くまでの時間が長く感じられました。
しかも、各キャラクターの状況や心情が毎話大きく変化するわけではないため、「いよいよ最終シーズンが始まった」という期待に対して、物語そのものの動きが少なく感じてしまいました。ホームランダーは最後まで支配を続け、ブッチャーはホームランダーを殺そうとし、ヒューイたちはその2人を止めようとするという基本的な構図が続きます。そのため、ホームランダーとブッチャーについても、長いシリーズを通して見てきたからこそ、もう少し新しい関係性や変化が描かれてもよかったように思います。
特にヒューイは、シリーズの中心人物の一人だったにもかかわらず、最終シーズンでは存在感がやや薄かった印象です。最終的にはブッチャーを自分の手で止めるという重要な役割を担いますが、そこへ至るまでの物語では、他のキャラクターに比べて目立つ場面が少なく感じました。
その一方で、最も印象に残ったのはフレンチーとキミコの物語でした。2人がこれまで抱えてきた過去や罪と向き合い、お互いを支えながら進んでいく姿は、最終シーズンの中でも特に感情移入しやすかったです。だからこそ、フレンチーの最期は非常に印象に残りました。ホームランダーとの戦いだけを中心にするのではなく、フレンチーとキミコという2人の関係にもしっかりと決着をつけたことで、シリーズ全体の人間ドラマとしての部分が強く感じられました。
また、Aトレインの最期も印象的でした。かつてロビンを殺してヒューイの人生を大きく変えた人物が、最後にはヒューイを救うために命を落とします。Aトレインが完全に過去の罪を帳消しにできるわけではありませんが、最後の選択によって彼自身の物語にも一つの決着がついたように感じました。
ホームランダーとブッチャーの結末についても、2人が最後まで互いを倒すことに執着し続けた点は、このシリーズらしかったです。ただ、ホームランダーを倒した後のブッチャーが、今度はすべてのスープを殺そうとする展開は、彼が最後まで復讐から逃れられなかったことを強調するものでした。そんなブッチャーを最後に止めるのが、彼が長年守ろうとしてきたヒューイだったという構図は、シリーズの締めくくりとしてよく考えられています。
全体としては、長く続いた物語の主要人物たちにそれぞれの結末を与えたことには満足しています。ただ、最終シーズンとしては、そこへ至るまでの展開がやや同じことの繰り返しに感じられ、最後の決戦に向けた盛り上がりがもう少し欲しかったです。それでも、ホームランダー、ブッチャー、ヒューイ、アニー、M.M.、フレンチー、キミコたちが長い戦いの末にそれぞれの人生を選択するところまで描かれたことで、シリーズを追い続けてきたファンにとっては、感慨深い最終章になったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2026/07/23 Amazonプライム・ビデオ
| 監督 | フィル・スグリッシア |
|---|---|
| 脚本 | エリック・クリプキ |
| 原作 | ガース・エニス |
| 出演 | カール・アーバン |
|---|---|
| ジャック・クエイド | |
| アントニー・スター | |
| エリン・モリアーティ | |
| ジェシー・T・アッシャー | |
| ラズ・アロンソ | |
| チェイス・クロフォード | |
| トマー・カポン | |
| 福原かれん | |
| ネイサン・ミッチェル | |
| コルビー・ミニフィ | |
| スーザン・ヘイワード | |
| バロリー・カレー | |
| ジェフリー・ディーン・モーガン | |
| ジャレッド・パダレッキ | |
| ミシャ・コリンズ | |
| ダヴィード・ディグス |

