●こんなお話
元革命家が娘がさらわれたのでレスキューしようとする話。
●感想
メキシコとアメリカの国境付近にある移民収容施設で、女性ベルフィディアは監視役として潜入しているが、実際には革命組織フレンチ75の一員として、リーダーであるボブとともに収容された移民を解放する計画を実行に移す。作戦は成功するが、その過程でベルフィディアは警官ロックジョーと遭遇し、互いに強い印象を残すことになる。
その後もベルフィディアは革命活動に身を投じ続けるが、ボブは組織の活動を最優先し、彼女との関係には距離を置くようになる。やがてベルフィディアは妊娠し、娘ウィラを出産するが、子どもの誕生を機にボブは活動からの引退を提案する。ベルフィディアはそれを拒み、思想を優先してボブのもとを去る。
単独で活動を続けたベルフィディアは銀行強盗に関与し、抵抗した警備員を射殺してしまったことで逮捕される。その逮捕に関わったのがロックジョーであり、彼はベルフィディアに対してフレンチ75の情報提供と引き換えに保護を約束する司法取引を持ちかける。ベルフィディアはこれを受け入れ、その結果として組織は壊滅し、ボブは逃亡生活を余儀なくされる。
その後、ロックジョーはベルフィディアに執着を見せ、彼女に結婚を申し込むため接触を試みるが、ベルフィディアは姿を消す。
それから17年が経過し、ボブはかつての面影を失い、落ちぶれた生活を送っている。そんな彼のもとに、娘ウィラの命が狙われているという情報が届く。ウィラを狙っているのはロックジョーであり、彼女がベルフィディアとロックジョーの間に生まれた子どもであることが理由だった。白人至上主義に傾倒するロックジョーにとって、その事実は自身の立場を揺るがすものであり、証拠を消すためにウィラの殺害を企てる。
高校で開催されたダンスパーティの最中、ロックジョーの部下たちがウィラを狙って襲撃を仕掛けるが、デアンドラという女性が彼女を連れ出し、修道院へと逃がす。一方でボブも娘を救うため行動を開始し、かつての仲間や武術道場の関係者の協力を得ながら居場所を突き止めていく。
その過程でボブはデモの誤認逮捕されるなどに巻き込まれるが、仲間の助けで脱出し、最終的にウィラの潜伏先へ向かう。しかしロックジョーの方が先に修道院へ到達し、ウィラを拉致する。彼はDNA鑑定によって親子関係を確認し、暗殺者に彼女の殺害を依頼する。
一方、ロックジョー自身も所属していた白人至上主義組織から裏切り者と見なされ、刺客を差し向けられる。彼は銃撃を受けて車ごと崖下へ転落するが生死は不明となる。
拘束されたウィラは暗殺者のもとに連れて行かれるが、暗殺者は独自の判断で彼女を解放する。ウィラは車で逃走を開始し、追跡してくる刺客とカーチェイスを繰り広げる。そこにボブも合流し、追撃戦は激化する。最終的にウィラは地形を利用して刺客の車を事故に追い込み、自ら銃を手にして相手を射殺する。
ボブはウィラと再会し、彼女を保護することに成功する。一方でロックジョーは生き延びていたものの、組織に呼び出され、入会決定のふりをして用意された部屋に入った直後に毒ガスによって殺害される。
ボブはウィラを自宅へ連れ帰り、ベルフィディアが遺した手紙を手渡す。そこには娘への思いと過去の選択への葛藤が記されていた。ウィラはそれを受け取り父と共に穏やかな時間を過ごすが、やがて自らの意思で革命の道を選び、再び戦いの世界へ向かうため家を出ていっておしまい。
物語全体としては非常にシンプルな構造でありながら、中年となったボブが頼りなく、逃げ回ったり捕まったりしながらも娘のために動き続ける姿には、人間味のある魅力が感じられます。
特に、かつての仲間とのやり取りや暗号を思い出せずに戸惑う場面などはユーモアもあり、重いテーマの中にほどよい緩急を与えていました。また、有色人種と白人の対立という背景が物語の動機に組み込まれており、単なるアクション作品にとどまらない広がりも感じられます。
一方で、ストーリー展開は比較的直線的で、場面ごとのつなぎがやや淡々としているため、観ている最中に少し単調さを感じる部分もありました。特に中盤は大きな展開の転換が少なく、緊張感が途切れがちで、やや退屈に感じる瞬間があったのも正直なところです。
それでも、後半の追撃戦や親子の再会に向けた流れはしっかり盛り上がり、クライマックスに向けての収束は見応えがありました。最終的にウィラが自らの意思で進む道を選ぶ展開には余韻があり、アクションと人間ドラマの両面を味わえる作品として楽しめる内容でした。
☆☆☆
鑑賞日:2026/04/29 U-NEXT
| 監督 | ポール・トーマス・アンダーソン |
|---|---|
| 脚本 | ポール・トーマス・アンダーソン |
| 出演 | レオナルド・ディカプリオ |
|---|---|
| ショーン・ペン | |
| ベニチオ・デル・トロ | |
| レジーナ・ホール | |
| テヤナ・テイラー | |
| アラナ・ヘイム | |
| ウッド・ハリス | |
| チェイス・インフィニティ |

