●こんなお話
フランスん知り合いから昔飲んでたスープを飲みたいと言われて食材を探しに行く井之頭五郎の話。
●感想
輸入雑貨の貿易商として世界各地を飛び回り、その土地での食事を何よりの楽しみとしている井之頭五郎は、ある日、かつての恋人の娘である松尾千秋から連絡を受け、フランス・パリへ向かう。機内でもすでに空腹を覚え、到着後はいつも通り食事を済ませてから、千秋と共に彼女の祖父・松尾一郎のもとを訪ねる。
一郎は五郎に、子どもの頃に飲んだ忘れられないスープをもう一度味わいたいと語り、そのレシピと材料を探してほしいと依頼する。スープの正体について残されているのは、曖昧な記憶とわずかな手がかりだけであり、五郎は半ば戸惑いながらも、その願いを引き受ける。
五郎はパリの市場や路地裏の食堂を巡り、現地の人々や中川の助けを借りながら、食材や調理法の断片を集めていく。
やがて手がかりはフランスを離れ、韓国へとつながっていく。現地の食堂で振る舞われる料理や、人々との何気ない交流を通じて、スープに込められた背景が少しずつ輪郭を帯びていく。さらに長崎の五島列島、そして東京へと旅は続く。
ついに集めた材料と情報を基にスープの再現が試みられるが、その味はあまりにも完成度が高く、一郎が求めていた記憶の味とは微妙に異なっていた。五郎は、本当の答えは味そのものだけではないことを感じ取りながら、スープ探しの旅を続ける余韻を残して物語はおしまい。
フランスや韓国の料理が映像としてしっかり楽しめた点は、とても魅力的でした。海外ロケならではの空気感があり、五郎が異国の地でも変わらず食に向き合う姿は安心感がありました。
一方で、テレビドラマ版にあったゆったりとした間や、料理一品一品を噛みしめるような時間は控えめで、全体的にダイジェスト的に進んでいく印象を受けました。映画という尺の都合もあると思いますが、じっくり食事を味わう感覚を期待していると少し物足りなさを感じるかもしれません。
長崎で船が出ないため、勝手にボートを借りて海を渡ろうとする場面など、コメディ的な展開も見られますが、このあたりは受け取り方によって評価が分かれそうです。軽やかさとして楽しめる反面、現実感を重視すると引っかかる部分でもありました。
物語上の盛り上がりとして、店を畳んだ料理人が再び包丁を握る展開なども描かれますが、やや付け足し的に感じられ、強く心を揺さぶられるところまでは至りませんでした。退屈することはなく最後まで穏やかに楽しめましたが、深い余韻を残すというよりは、気軽な食の旅を眺める一本という印象でした。
☆☆☆
鑑賞日:2026/01/24 Amazonプライム・ビデオ
| 監督 | 松重豊 |
|---|---|
| 脚本 | 松重豊 |
| 田口佳宏 | |
| 原作 | 久住昌之 |
| 出演 | 松重豊 |
|---|---|
| 内田有紀 | |
| 磯村勇斗 | |
| 村田雄浩 | |
| 塩見三省 | |
| 杏 | |
| オダギリジョー | |
| 特別出演 | ユ・ジェミョン |

