●こんなお話
赤い人に殺される夜を何度も過ごしてミイラ化した遺体の身体を礼拝堂の棺におさめるために頑張る話。
●感想
1人の少女が誰かに追い詰められ、恐怖の中で殺されてしまうというショッキングな場面から物語は始まる。その後、いつも通りの朝が訪れ、学校へ向かう主人公の姿が描かれていく。友人たちと共に教室に入り、何気ない日常の風景が流れる中で、徐々に違和感が漂い始める。
ふと気がつくと、主人公たちは夜の礼拝堂に立っていた。なぜそこにいるのかもわからぬまま、あたりを見回していると、突如として何者かの襲撃を受け、仲間の一人が命を奪われる。混乱のなか、再び朝を迎えると、何事もなかったかのような風景が広がっていた。しかし、そこにあったのは死んだはずの仲間の不在と、心に残る不確かな恐怖だった。
その繰り返しが始まる。夜になると再び礼拝堂へと導かれ、怪物に襲われ、誰かが命を落とす。朝になるとまた何事もなかったように日常が始まる。主人公たちはその繰り返しの中で、「カラダ探し」という言葉にたどり着く。夜の学校に隠された少女の身体を探し出すことで、この不可解な輪廻を終わらせられるのではないかという考えに至る。
学校の各所を巡って身体の一部を見つけるたびに、怪物が現れて襲いかかる。食べられてしまった者は、次の朝に「存在そのものがなかったこと」になってしまい、周囲の記憶からも消えてしまう。恐怖のなかで、少女が最後に「頭を失っていた」という事実が浮かび上がり、手がかりを求めて、彼女のかつて住んでいた家へと足を運ぶ。
その家では異形の人形の怪物が現れ、再び襲撃を受ける。無情にも喰われてしまう者が出るが、なんとか逃げ延びた主人公たちは、学校の図書室で不思議な雰囲気を漂わせる先生から、かつて自分も「カラダ探し」をしていたという話を聞かされる。
いよいよ最後の夜。主人公たちは怪物との決戦に挑むため、夜の学校に潜む。そして、執念で首を切り落とすことに成功し、それを棺に納める。やがて朝が来て、すべてがリセットされたように世界は元通りになるが、記憶を失っているはずの恋人のような存在の男の子だけが、どこかすべてを覚えているような目をして物語は終わる。
作品全体としては、何度死んでも同じ夜が繰り返されるという設定があるため、主人公たちの行動にも緊張感が薄れ、やや淡々と物語が進んでいくように感じました。劇中ではカフェでパフェを食べたり、砂浜ではしゃいだりするシーンも多く、サスペンスやホラーというよりは、青春群像的な雰囲気を強く感じました。そのため、ホラー作品としての怖さを求める方には、やや物足りなく映るかもしれません。
ただ、赤い人物の造形や、途中から登場する第二形態の怪物のビジュアルには目を引かれるものがありました。そこはしっかりと画として楽しめる部分だったと思います。ただそれ以外では、物語の推進力やキャラクターの魅力といった点において、やや弱さが感じられました。登場人物が多い割に個性が見えにくく、誰がどんな人物なのか把握しづらい部分があり、観ていて少し迷子になりそうな印象もございました。
それでも、ループ構造を使ったホラー作品という点では珍しさもあり、若いキャストたちが不条理な世界の中で試行錯誤していく姿を描いたという点では、一定の興味を持って最後まで観ることができました。
☆☆
鑑賞日:2023/03/26 NETFLIX
監督 | 羽住英一郎 |
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脚本 | 土城温美 |
原作 | ウェルザード |
出演 | 橋本環奈 |
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眞栄田郷敦 | |
山本舞香 | |
神尾楓珠 | |
醍醐虎汰朗 | |
横田真悠 | |
柳俊太郎 | |
西田尚美 | |
柄本佑 |