●こんなお話
甲賀と伊賀が将軍家の跡取りを決めるために、5人VS5人の殺し合いの戦いを描く話。
●感想
徳川家康は自身の死後を見据え、跡継ぎ問題を解決するため、長年対立してきた甲賀と伊賀という二つの忍びの里を利用する策を巡らせる。不戦の誓いを交わしていた両里に対し、家康は密命として、それぞれ五名ずつの精鋭を選出し、最後まで生き残った側が推す将軍候補を次代の将軍とする代理戦争を命じる。
甲賀の若き頭領・弦之介と、伊賀の頭領の孫娘である朧は、争いとは無縁の山中で密かに逢瀬を重ね、互いに想い合う関係にあった。しかし家康の命令により、二人はそれぞれの里を代表する存在として敵同士の立場に置かれる。
家康の使者が正式な命を伝えたことで、甲賀の頭領・丹丈と伊賀の頭領・お幻の間に長年抑え込まれていた因縁が再燃し、両里は戦いを避けられない状況に追い込まれる。
伊賀のお幻と甲賀の丹丈は直接対峙し、激しい戦いの末に相討ちとなる。両里を象徴する存在が同時に失われたことで、和解の可能性は完全に消え去る。
戦いが始まると、甲賀と伊賀の忍びたちはそれぞれが持つ異能の忍法を駆使し、命を奪い合っていく。肉体能力に秀でた者、顔を自在に変える者、蝶を操る者、毒を使う者、不死身の肉体を持つ者などが次々と現れ、戦いは通常の合戦とは異なる異様な様相を見せる。
朧は相手の瞳を見ることで忍法を無効化し、身体を破壊する力を秘めており、その能力は戦局を左右する決定的な存在となる。家康にとってもその力は脅威であり、朧の存在自体が戦いの行方を大きく左右していく。
戦いの終盤、仲間をほとんど失った弦之介と朧は再び対峙する。弦之介は朧にあえて討たれて命を落とし、甲賀の行く末を託して息絶える。
その後、朧は徳川家康のもとへ赴き、忍びの里が滅ぼされる運命であることを訴える。家康は計画を中止し、忍びたちは完全な殲滅を免れることになっておしまい。
物語の骨格はロミオとジュリエット型の悲恋で、当人同士は強く想い合っているものの、一族の宿命がそれを許さない構図です。ただし、二人が恋に落ちる過程がほとんど描かれず、序盤から想い合っている状態で始まるため、戦いが決定した後の葛藤がやや伝わりにくく感じました。
忍者同士の戦いも、最初にある程度まとまったアクションはあるものの、その後は奇襲や即退場が多く、忍法バトルを期待すると物足りなさが残ります。個性的な忍者たちが揃っているだけに、それぞれの能力を活かした漫画的な戦闘に特化した構成のほうが合っていたように思えました。
主人公の弦之介も、頭領としてのカリスマや仲間との関係性がやや曖昧で、主従関係なのか仲間同士なのかが分かりづらい点も気になりました。無益な戦いの虚しさや悲劇性が物語全体を通して十分に積み重ならないため、徳川家康に訴える終盤の展開も感情的な盛り上がりには欠けていた印象です。
忍びの里があっさりと壊滅寸前まで追い込まれる点や、家康の書状が瞬時に届く展開など、細部に突っ込みたくなる部分はありますが、全体としては理屈よりも雰囲気を楽しむ作品だと感じました。
アクションの勢いで押し切る構成であれば、より娯楽性の高い作品になったのではないかと思いますが、忍法と悲恋を組み合わせた独特の世界観は印象に残る映画でした。
☆☆
鑑賞日: 2013/05/15 DVD 2026/02/01 U-NEXT
| 監督 | 下山天 |
|---|---|
| 脚本協力 | 小川智子 |
| 大原久澄 | |
| 脚色 | 平田研也 |
| 原作 | 山田風太郎 |
| 出演 | 仲間由紀恵 |
|---|---|
| オダギリ ジョー | |
| 椎名桔平 | |
| 黒谷友香 | |
| 沢尻エリカ | |
| りりィ | |
| 北村和夫 | |
| 石橋蓮司 | |
| 永澤俊矢 | |
| 松重豊 |


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