映画【叫】感想(ネタバレ):赤い服の幽霊と刑事の謎めいた捜査劇

retribution
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●こんなお話

 赤い服を着た死体が発見されて連続殺人を捜査する刑事さんの話。

●感想

 赤い服を着た女性が何者かに殺されるシーンから始まります。その直後、大きな地震が発生し、主人公である刑事は女性の殺害現場に呼ばれて捜査を開始。しかし、地震の影響で現場は液状化現象を起こしており、状況は非常に困難なものになっている。

 現場に落ちていた証拠品を鑑識に出したところ、思いがけず自分の指紋が検出され、主人公は少し焦りを感じている様子。再び現場に向かうと、赤い服の女性の幽霊が現れ、自分のことを知っているように話しかけてきますが、主人公にはその女性に関する記憶がない。

 似たような殺害方法による事件が続けて発生し、主人公はその犯人を追いかけて逮捕、事情聴取を行うけど、その容疑者は見えない何かに怯えている様子を見せる。主人公が独自に捜査を進める中、同僚の刑事からは怪しまれたり。

 さらに、不倫関係にある男性の殺人事件が起き、関係する容疑者たちが何かを見ているらしいことが判明していく。物語が進むにつれて、フェリーの利用者全員が殺人事件の容疑者かもしれないという疑念も生まれまたり。主人公は湾岸沿いにある廃墟を発見し、調査のために訪れますが、そこで骸骨を見つけて供養するも、幽霊は依然として現れ続けます。

 工業地帯の独特な魅力を映し出す映像は非常に美しく、雰囲気作りは素晴らしかったです。ストーリーの中心は、主人公の刑事がなぜ幽霊に取り憑かれているのかを自ら調査し、真相に迫っていくことにあります。ただ、物語が進むにつれて幽霊の正体や真実ははっきりと解明されるわけではなく、やや不完全燃焼な印象で終わってしまいました。

 幽霊が普通に玄関を開けて家に入り、帰っていく様子はどこか可笑しく、葉月里緒菜さん演じる幽霊が叫び声をあげながらゆっくり近づいてくる不気味なシーンや、ドアから入ってそのまま空を飛んでどこかへ去っていく自由さは印象的でした。

 クライマックスで伊原剛志さん演じる人物に起こる出来事は、怖さというよりコメディ的な要素が強くなってしまったように感じられました。

 全体としては独特な雰囲気が漂い、黒沢清監督の映画を観ているかのような世界観が強く感じられた作品です。

☆☆☆

鑑賞日:2011/09/10 DVD 2024/06/24 DVD

監督黒沢清 
脚本黒沢清
出演役所広司 
小西真奈美 
伊原剛志 
葉月里緒菜 
オダギリジョー 
加瀬亮 
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