映画【私は貝になりたい(1959)】感想(ネタバレ)

Lips Forbidden to Talk
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●こんなお話

 捕虜となった米兵を殺害した罪で捕まった床屋さんが貝になりたいと思うまでの話。

●感想

 床屋として爆撃機が迫って配給も厳しい中、奥さんと子どもと幸せに暮らしている主人公が、徴兵されて二等兵として上官の命令で捕虜の米兵を刺突するように言われて…。その後、戦争が終わり平和に暮らしているところにMPがやってきて巣鴨プリズンに連行されてしまう。

 ひたすら理不尽な人生でただただ辛い映画でした。映画を見ていて、日本の軍隊の上官絶対主義。上官の命令は朕の命令ということで主人公が1度捕虜に対して刺突せよというのを断るけれど。許されず捕虜の腕を刺してしまう。それだけなのに、アメリカ人たちに日本人や日本軍の仕組みや精神を全く理解されずに裁判がトンチンカンな方向へ向かってしまって、あれよあれよというまに死刑判決が下されるという。

 主人公が平和に暮らしてお客さんと戦況を語り合ったりしているときに、赤紙がきちゃってからの後の暗がりの床屋さんで1人で落ち込むという長回しとか印象的でした。静かにじっくりと男の様子を見せる。

 巣鴨プリズンではひたすら再審請求や減刑を願って手紙を書き続ける。同じ房になった人に何をしたんですが? という質問に「嫌な時代に生まれたものです」と静かに語るのとかも、本当に戦争ってよくないという。最高司令官が主人公に謝罪して減刑してもらえるように活動している。最初は喋りたくもないと思っていたけれど、しだいに交流を持って司令官の髪の毛を切ってあげたり。この時の警察予備隊設立についての会話とかはどういう意味なのか知りたくなりました。「民主的な軍隊なんてありえない」とか。

 最高司令官が処刑された後は講和条約が今後結ばれるぞという流れだったり、処刑がとまったりと楽観的な流れに主人公や仲間たちになっていく。そして主人公が房の移動になって「釈放だ!」と喜ぶけれど、その流れだと当然…。という理不尽すぎる展開。

 まさに「私は貝になりたい」な映画でした。

 

☆☆☆☆

鑑賞日:2008/07/22 DVD 2021/09/14 NETFLIX

監督橋本忍 
脚色橋本忍 
原作橋本忍 
加藤哲太郎 
出演フランキー堺 
新珠三千代 
菅野彰雄 
水野久美 
藤木悠 
織田政雄 
多々良純 
加東大介 
榊田敬二 
沢村いき雄 
堺左千夫 
藤田進 
笈川武夫 
南原伸二 
藤原釜足 
稲葉義男 
小池朝雄 
佐田豊 
平田昭彦 
桜井巨郎 
加藤和夫 
中丸忠雄 
清水一郎 
坪野鎌之 
笠智衆 
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