映画【エクスマキナ Ex Machina】感想(ネタバレ):未来都市オリュンポスで交錯する人間と人工生命体の行方

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●こんなお話

 世界戦争勃発後の中立都市でテロ事件が続発して一般市民を何かに操られたようになってテロに参加してるので、どうやら世間で流行している通信端末が原因だと探って世界を救おうとする話。

●感想

 戦後世界に築かれた未来都市オリュンポスでは、人間、義体化したサイボーグ、そして感情を抑制された人工生命体であるバイオロイドが共存し、中央管理システムによって秩序が保たれていた。高度なテクノロジーの恩恵を受ける一方で、都市の平和は常に不安定な均衡の上に成り立っている。

 治安維持を担う特殊部隊ESWATに所属するデュナン・ナッツは、屈指の戦闘能力を誇る女性兵士であり、相棒は全身を義体化したサイボーグ兵ブリアレオス・ヘカトンケイレスだった。二人は長年コンビとして数々の任務をこなし、戦場だけでなく私生活でも深い関係を築いている。ある日、欧州連合の要人を拉致した暴走サイボーグの鎮圧任務に出動した際、ブリアレオスはデュナンを庇って致命的な損傷を負い、修復と治療のため前線を離れることになる。

 ブリアレオスの不在を補うため、ESWATは新たなパートナーとしてバイオロイド兵テレウスをデュナンに配属する。テレウスはブリアレオスのDNAを基に製造された戦闘用個体で、人間だった頃のブリアレオスと酷似した容姿を持っていた。その姿と高い戦闘能力は、デュナンに戸惑いと微妙な感情の揺れをもたらす。治療を終えたブリアレオスは、バイオロイドの誕生を祝うヒトミのパーティーでテレウスと対面し、自分の過去を映すような存在に強い動揺を覚える。

 その頃、オリュンポスの指導部は世界平和の実現を掲げ、全世界の衛星システムをオリュンポスの統合ネットワークに接続する計画を進めていた。だが、その重要会議の最中、突如として謎の暴動が発生し、ESWAT隊員や一般市民、さらには非サイボーグ兵までもが異常行動を起こし始める。都市全体が混乱に陥る中、原因不明の制御信号の存在が浮かび上がる。

 調査の過程で、ブリアレオス自身も不審な暴走行動を起こし、衛星制御システムへ侵入してしまう事態が発生する。オリュンポスは緊急的にバックアップ体制へ移行し、ブリアレオスは拘束される。彼を手術した医師ケスナー博士の過去を辿ると、ポセイドン社ハルコン研究所で人間の意識と行動を制御する研究に関わっていた事実が明らかになる。ケスナーは真相を語ることなく命を絶ち、ブリアレオスは罪を着せられる形で逃亡者となる。

 デュナンとテレウスは彼を救出し、解毒薬によって一時的に制御信号の影響を断つことに成功するが、事態はさらに深刻化する。ハルコン由来のウイルスが衛星ネットワークを通じて拡散し、人々の行動は強制的に暴動へと導かれていく。三人はポセイドン船団を追跡し、かつて中断されたマインドコントロール実験の真相へと辿り着く。

 その計画は、主任研究員エリザベス・ザンダーが、人類を統合された意識状態に置くことで争いを終わらせようとした試みだった。事故として封印されたはずの研究は、ザンダー自身の意志によって再起動されていた。信号発信源となる要塞へ侵入したデュナンたちは、制御下で稼働するザンダーと対峙する。最後の解毒薬で一時的に正気を取り戻したザンダーは、再び人々を縛る前に自らを殺すようにデュナンに頼んでデュナンは銃撃。

 崩壊寸前の要塞から脱出した三人はオリュンポスへ帰還する。都市には多くの課題が残されるが、デュナン、ブリアレオス、テレウスはそれぞれの立場と存在意義を受け入れ、治安維持部隊としての日常へ戻っていく。人間とバイオロイドが共に歩む未来を模索しながら、彼らの任務は続いておしまい。


 冒頭から銃撃戦と肉弾戦が連続し、非常にテンポの良い掴みで一気に引き込まれました。人間、サイボーグ、バイオロイドという三者の関係性を軸にした構図はわかりやすく、特にデュナンとブリアレオス、そしてテレウスの微妙な距離感は物語の中心として強く印象に残ります。ただ、主人公と恋人の関係性が最初から最後までかなり前面に出ており、少し照れくさく感じる場面もありました。

 アクションシーンの迫力は非常に高く、終盤で大量の敵を相手に三人が連携して戦う場面は見応えがあります。スローモーションと音楽の使い方が効果的で、盛り上げるべき場面をしっかり理解した演出だと感じました。

 一方で、物語の骨格はよくある陰謀劇の域を出ておらず、展開自体に大きな驚きはありませんでした。主人公であるデュナンの内面描写も控えめで、葛藤や迷いが深く掘り下げられることはなく、ドラマ性はやや弱く感じます。むしろ一番重い問題を抱えているのはブリアレオスであり、操られる恐怖や自分の存在への疑問を背負う立場にありますが、外見が機械であるため表情が伝わりにくい点は惜しいところです。

 世界平和の名のもとに衛星を統合する計画や、それがテロに利用される流れも王道的で、予想通りに進む印象でした。ただ、独特のCG表現と前作からさらに洗練された映像は見ていて楽しく、好みが分かれる作風ではあるものの、個人的には最後まで楽しめる一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2008/10/28 DVD 2014/07/18 DVD 2025/12/13 U-NEXT

監督荒牧伸志 
脚本たけうちきよと 
原作士郎正宗
出演小林愛 
山寺宏一 
岸祐二 
沢城みゆき 
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