映画【ザ・レイド】感想(ネタバレ):超高層アパートが戦場になる極限アクション

the-raid-redemption
スポンサーリンク

●こんなお話

 麻薬王が支配するビルの中で戦う特殊部隊の話。

●感想

 インドネシア・ジャカルタのスラム街にそびえ立つ老朽化した高層アパートは、麻薬王タマ・リヤディが支配する犯罪者たちの巣窟となっていた。
 この建物では、住人が家賃の代わりに犯罪者をかくまうことで保護を受けており、警察も軍も長年手を出せずにいた。

 ある早朝、汚職とは無縁の新人警官ラマは、精鋭部隊の一員としてこのアパート制圧作戦に参加する。
 指揮を執るのは現場責任者のジャカで、さらに作戦の監督役として警察幹部ワヒユも同行していた。
 公式には極秘の麻薬撲滅作戦とされていたが、実際には上層部の正式な承認を得ていない強引な突入作戦だった。

 部隊は夜明け前に静かに建物へ侵入し、階段を使って制圧を進めていく。しかし、住人の子どもに発見されたことで状況は一変し、警報が鳴り響く。
 タマは館内放送で犯罪者たちに、警官を殺せば自由を与えると告げ、アパート全体が戦場と化す。

 銃撃戦と接近戦が立て続けに起こり、警察部隊は多勢に無勢で次々と倒されていく。ジャカも重傷を負い、作戦は完全に崩壊する。
 生き残ったラマたちは建物内部に追い詰められ、即席の連携と素手の格闘で生き延びるしかなくなる。

 混乱の中、ラマは兄アンディと再会するが、彼はすでにタマ配下の幹部として犯罪組織に身を置いていた。一方で、同行していたワヒユの正体が明らかになる。
 彼は汚職警官であり、この作戦自体が厄介な部隊をまとめて始末するために仕組まれた罠だった。

 ワヒユは証拠隠滅のため、生き残っていたジャカを射殺し、タマの元へ向かう。しかしタマは彼を完全には信用しておらず、用済みになれば切り捨てるつもりでいた。

 その頃、タマの腹心であるマッド・ドッグは、正体が露見したアンディを捕らえ拷問していた。そこへラマが現れ、銃を嫌うマッド・ドッグは素手での決闘を要求する。
 三人は狭い室内で壮絶な肉弾戦を繰り広げ、激闘の末、兄弟は協力してマッド・ドッグを倒す。

 追い詰められたワヒユがタマを人質に逃げようとするが、タマは裏切り者を嘲笑し見捨てる態度を見せる。絶望したワヒユはタマを射殺し、その直後に自殺を図るが弾切れで失敗する。

 最終的に、アンディは犯罪の世界へと戻る決断をし、ラマはワヒユを拘束する。夜が明け、激戦の跡が残るアパートを、ラマは生き残った警官として静かに後にしておしまい。


 冒頭、祈りを捧げ、懸垂と腕立て伏せを行い、臨月の妻に別れを告げる主人公の姿から始まる導入が非常に印象的でした。
 そこから一気に警察車両内での任務説明、そして突入へとなだれ込む展開は、開始数分で観客を完全につかみに来る構成で、非常に引きが強いです。

 序盤の静かな制圧から、一発の銃声をきっかけに地獄のような戦場へ転落していく流れは圧巻でした。暗闇の中で点滅するマズルフラッシュ、降り注ぐ銃弾、混乱の中で次々と倒れていく警官たち。音と映像の迫力が凄まじく、緊張感が途切れません。

 銃撃戦が一段落すると、今度はインドネシア武術シラットを中心とした肉弾戦が怒涛のように続きます。
 ナイフを使った近接戦闘のキレ味は凄まじく、アクションの密度は他の作品と一線を画していました。

 特に印象に残るのがマッド・ドッグという悪役の存在です。銃を持ちながらも素手での戦いを好み、圧倒的な身体能力で警官たちを叩き伏せていく姿は、アクション映画史に残るキャラクターだと感じました。
 クライマックスの二対一の肉弾戦は、動き、撮影、編集のすべてが噛み合った名シーンだったと思います。

 物語はほぼアクション一辺倒で、登場人物の背景説明は最小限に抑えられています。そのため、主人公の名前すら印象に残りにくい部分や、タマという大ボスが後半でやや小物に見えてしまう点は気になりました。
 ただ、それを補って余りあるほどアクションの完成度が高く、観終わった後の満足感は非常に大きいです。

 とにかくアクションを堪能したい方にとって、これ以上ない一本だと感じました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/01/14 Blu-ray 2026/01/17 DVD

監督ギャレス・エバンス 
脚本ギャレス・エバンス 
出演イコ・ウワイス 
ヤヤン・ルヒアン 
ジョー・タスリム 
ドニー・アラムシャー 
レイ・サヘタピー 
タイトルとURLをコピーしました